第二話

文字数 359文字



数多の若者の命を見送った空は
今日もまた青い

神風という風に乗り
母を想い 国に命を捧げた者達は
その今際の際に何を見たのだろうか

彼等が追いかけた未来は
今ここにちゃんとあるのだろうか

数多の若者の命を受け止めた海は
何も語らない



がらんどうの青年が
空を眺めている

何かを見つけたような気がしたのだ
空を切り裂く飛行機雲の先に

青年は手を伸ばしてそれを追いかけた
追いかけて 追いかけて

辿り着いた先
そこには海があり

やっと指先に触れたかと思った矢先
それは泡となり海の底へと沈んでいった

そいつじゃない

海を渡れと
青年を励ます声が
水平線の向こう側から聞こえたが

空と海が溶け合い一つになったかのような
延々と続くその青さに

呆然自失となった青年は
踵を返し またもと来た道へと引き返した

水面は静かに揺れている

今を生きようとしない
一人の若者の顔を映したまま

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