文字数 666文字

その男の名は鬼灯類(ほおずきるい)。
「なあ、類、お前、本当にかわいいな」
「キモイ」
近づく手を払いのけ軽蔑の冷ややかな視線を送る。
「じょ、冗談だって、な?」
類は「はぁ」と一つ息をつくとその場を立ち去ろうとした。
何故だ。何故なんだ。
女の子にモテない。
近づくのはキモイ野郎どもばかり。
「冗談で済まされることと済まされないことがあるんですよ、先輩。もう二度と俺に話しかけないでください。」
棘のような視線を送り教室に向かって歩き始めた。
ジロジロと視線を感じる。
なんでこんなに窮屈なのだろうか。
窓ガラスに反射した自分の顔を見る。
イケメンに生まれたかった・・・。
俺に対する女の子の反応は、
7割「かわいい!弟に欲しい!」
2割「泥棒猫!」
1割創作に使われる
こんな感じだ。
だからずっと彼女いない歴=年齢をキープしている。
「あっ、類くん」
「えっ、どうしたの?」
学級委員の女の子に呼び止められた。
「先生が進路希望の紙を提出してって」
「あぁ、ごめん、すぐに出してくるね」
精一杯の笑顔を送る。
「ふふっ、類くんって本当にかわいいね。じゃあ、これで」
学級委員の女の子の背中を見ながらむなしい気持ちでいっぱいだった。
かわいいって言うなよ、かわいいって。
確かにかわいがられるのはおいしいけれども!
教室に入り、自分の席の引き出しにある白紙の進路希望の紙を取り出した。
「なぁーんにもやりたいことなんてねぇんだよなぁ」
頬杖をつきながら放課後の部活動を見つめる。
いいよなあ、やりたいことがある人たちって。
「くだらね」
進路希望の紙を紙飛行機にして
「ぴゅう」
下手糞な口笛を吹いた。
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登場人物紹介

鬼灯類(ほおずきるい)

美しい容姿を持つ。

半(なかば)

年中ジャージの少女漫画家。

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