はたけ
文字数 426文字
孫と畑へ西瓜を収穫に行った時のこと。
「ゆきちゃん知ってるか、美味いスイカは叩いたらわかるんだぞ」
「ぽんぽん」
「そうだ、でもあんまり強くしたら駄目だ」
さてどれにするかと吟味していると、孫がある場所から動かない事に気付いた。
「それがいいのか?」
「すいか、おへんじした」
「は?」
紅葉のような手が西瓜を叩く。
ぽんぽん、コンコン。
入ってますよと言わんばかりに、内側から分厚い皮を叩く音がした。
「このすいか、たべたい」
「あー……」
少し迷った。自分が毒見するとしても、現在幼い孫によくわからない物を食べさせて良いものか。
「……まだ食べられないよって言ってるんだ」
小振りであるのを理由に、諦めさせた。その日以降、返事をする西瓜を手に取る事はなかった。泥棒に盗まれてしまったからだ。
しかし変死体や奇妙な病状を訴えるニュースはついぞ出て来なかったので、無害なものだったのだろう。味見し損ねた事を少し後悔した。
「ゆきちゃん知ってるか、美味いスイカは叩いたらわかるんだぞ」
「ぽんぽん」
「そうだ、でもあんまり強くしたら駄目だ」
さてどれにするかと吟味していると、孫がある場所から動かない事に気付いた。
「それがいいのか?」
「すいか、おへんじした」
「は?」
紅葉のような手が西瓜を叩く。
ぽんぽん、コンコン。
入ってますよと言わんばかりに、内側から分厚い皮を叩く音がした。
「このすいか、たべたい」
「あー……」
少し迷った。自分が毒見するとしても、現在幼い孫によくわからない物を食べさせて良いものか。
「……まだ食べられないよって言ってるんだ」
小振りであるのを理由に、諦めさせた。その日以降、返事をする西瓜を手に取る事はなかった。泥棒に盗まれてしまったからだ。
しかし変死体や奇妙な病状を訴えるニュースはついぞ出て来なかったので、無害なものだったのだろう。味見し損ねた事を少し後悔した。