魔王の魔物??

文字数 712文字

我輩は猫である。
名前はまだない。

だが、何を隠そうただの猫ではない。
我輩は魔王さまの忠実なダンジョンモンスターなのだ。

そうは見えない?

愚かなり。
能ある鷹は爪を隠すのだ。
(我輩は猫だが)

我輩が魔王さまの忠実なダンジョンモンスターになったのは、ある雨の日だった。
捨てられた段ボールも雨でぐちゃぐちゃになって倒れていたところを、魔王さまに救って頂いたのだ。

それゆえ、我輩は魔王さまに忠誠を誓ったのだ。

さて、今日も魔王さまのダンジョンに近づく不届きものを成敗してくれる。

我輩は一番魔王さまに忠実なダンジョンモンスターだ。
だから途中まで進ませるどころか、ダンジョンには一歩たりとも入れたりはしない。

そう、我輩が不届きものを待ち構えるのは、ダンジョンの前である。

今日も愚かな勇者どもが来おった。
我輩の前にひれ伏すがいい!!



「にゃ~~ん。」(ゴロゴロ)



勇者たちは我輩を見て、動きを止める。
どうだ!恐ろしくて動けまい!!

そのうちひとりが、恐る恐る我輩に近づく。



「なぁ~~ごぉ~~。」(スリスリ)



先制とばかりに、走りよって足に絡み付く。
我輩の攻撃に、その者は腰を抜かして座り込んだ。

どうだ、我輩の恐ろしさを思いしったか!!
我輩はたったそれだけの事で、敵の戦意を喪失させる事ができるのだ。

そして勇者一行は次々に我輩に挑み、腰を抜かすのだ。
あげくには持っている食料を差し出し、命乞いをしてくる有り様だ。

愚かなり。
この程度で魔王さまに挑もうとは、片腹痛いわ。

勇者一行は、さんざん我輩に奉仕を行ったので、帰る事を許してやる。

ふう、今日も愚かな勇者どもを退散させてやった。



我輩は猫である。

そして魔王さまの忠実なダンジョンモンスターである。

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