夢魔の王の人生迷路

文字数 547文字

ここに誰一人として攻略出来ない迷宮がある。

名の知られた数々の冒険者や勇者、そして学者達までが挑んだが、誰一人帰っていたものはいない。

この難攻不落の迷宮の奥には、夢魔の王が眠っているという。

世界は夢魔王の夢に侵食され、狂い始めた。
誰もが眠ることを恐れ、そしてまた、白昼夢を見続ける。
どちらが夢か、現実か、誰にもわからなくなっていく。

この現象を止める方法はわかっている。
夢魔王を起こせばいいのだ。
ただ、それだけなのだ。

だが、それは誰にも出来ない。

夢魔王が眠るのは、夢の迷宮。
誰一人、攻略して帰ってきたものはいない。

迷宮の入り口には、こう書いてある。

「何一つ、違う選択をしないこと」

研究によってわかっていることは、その迷宮は、その人の過去を写し出すと言うことだ。
入った者は、己の過去を同じように歩む必要がある。

簡単だと思うだろう。
実際にそれまで生きてきた事と同じことをすればいいだけなのだから。

だが、誰も帰っていたものはいない。

夢魔王の眠る、人生迷路。
それは自分の過去を写し出し、同じ選択をすることで進んでいく。

簡単だ。
簡単なはずなのだ。


だが……。

人にはひとつやふたつ、必ずあるものだ。



あの時、
もしも違う選択をしていたら……。



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