第三再 【采】

文字数 7,594文字



 世の既成概念を破るというのが、真の仕事である。   
               坂本龍馬






 それを人間は、”災害”と呼んでいた。
 しかしこの男からしてみれば、それは”人災”同様”神災”なのだと。
 「今日も通らなかったか・・・」
 人間の世界と異世界を繋ぐ狭間に存在している小さな部屋。
 そこにはなぜだか、水晶玉やトランプのような形を成したものなどが置かれている。
 男、シェドレはずっと探している”神災”の元凶とも言える人物をずっと待っていたのだが、今日も現れなかったようだ。
 青くさらりとした髪をかきあげてそろそろ別の場所へ移動しようかと動き出す。
 ふと足を止めると、シェドレはじっとしたまま動かなくなるが、刹那、手元にあったガラス製のペンやグラスを一気に腕で振り払う。
 それらはシェドレの後ろへと飛んで行ったのだが、誰に当たることもなく、ただ涼しげな音を出しながら床に落ちていく。
 「お久しぶりですね」
 決して独り言などではない。
 薄っすらとした店内から姿を現したのは、シェドレとは相反するような色、赤い髪をした男だった。
 「そうだっけか?つい最近も会った気がするんだけどなあ」
 ゆっくりと振り返ったシェドレの目に映ったのは、赤い長髪、水色の目、左目の下にはホクロが三つ三角形の形を作るようにそこに居座り、ピアスもつけている。
 胸元にはパワーストーンなのか、石を飾っており、紫の腕部分がない服を着ており、首周りは銀のふわふわしたものをつけている。
 「会っていませんよ。ここ百年ほどはまったくといっていいほどね」
 「そっか。じゃあ気のせいだ」
 二人してにこにこと表情としては笑みを浮かべているのだが、その場に流れている空気は重たく淀んでいる。
 すると、いきなりシェドレが男に襲い掛かる。



 「・・・・・・」
 「いきなり殺そうとしないでよ。まったく、相変わらず人づきあいが苦手なんだね」
 「失礼いたしました。つい」
 「つい、で殺されたらたまんないね」
 そうは言いながらも、男は平然とシェドレの攻撃を避けていた。
 避けていた、というのは違うかもしれない。
 シェドレの攻撃が男のもとではない場所へと向かっているのと同時に、男はシェドレの攻撃とは反対の方向へ移動していた。
 「コールを連れてくればよかったかな」
 「・・・あなたが生み出したという神ですか」
 「ちょっとわがままで困ってるんだよ」
 「ならば私が躾てさしあげましょうか」
 「お前が?・・・・・・っっく。はははは!!!!お前が神を躾ける?ここ百年の中で一番面白い冗談だ!!!はははは!!!!」
 ひとしきり笑い終えると、男は舌でぺろっと唇をなめる。
 「お前のような人間のなり損ないを”不良品”って言うんだよ」
 「不良品上等ですね。むしろ、あなた方のほうこそ”不良品”どころか”不用品”なのでは?いたずらにあちこち食い荒らすのは止めていただきたいものです」
 「なんかしたか?」
 「近年、不穏な動きが増えています。時代、世界問わず」
 「知らないねぇ。それが全部俺たちのせいだって言いたいわけ?」
 「全部でなくともほとんどがそうでしょう。現に、あなたはそれでいくつもの時代や次元を消してきた」
 「・・・そうだっけ?覚えがないなあ」
 「あなたに覚えがなくても関係ありません。過去の事象を記録として遺している者がいるのです」
 そのシェドレの言葉に、男は目つきを少しだけ鋭くする。
 だがすぐに笑顔を作ると、そこにあるテーブルに腰をおろして足を組む。
 「そうか。うんうん。そうなのか。そんな人間がいるんだ。そうか。・・・早めに消しておいた方がいいかな」
 「それを阻止するためにここにいました」
 「は?お前が?俺を止めるってこと?馬鹿じゃねぇの?止められるわけねぇだろ。てかさ、お前も同じようなことしてんじゃん?自分の忠告聞かなかった奴はめっためたにしてんだろ?なのになんで邪魔すんだよ」
 「めっためたになどしていません」
 「してんだろ、聞いたから」
 「ペナルティを与えているだけです」
 「それが信じられねえくらいめっためたって聞いた」
 「そんなことありません」
 「自分でやってること棚にあげて俺のこと責めるとか止めてほしいわー」
 「私が行っているのはあくまで救済措置から逸脱した者への躾のようなものです。あなたが行っているのはただの暴力、自尊心の放出、滅亡へ導くものです」
 「で?俺を止められる確率はいかほど?」
 にやにやしながらシェドレにそう聞くと、シェドレも珍しくにやりと笑う。



 「時代に歪みを引き起こし、”神災”を引き起こすあなたには、眠っていたもらいます」
 「ああ、殺さねえんだ」
 「そこまでの力はありませんので」
 「そのあとどうすんだよ。また起きたら暴れるかもしれねえぞ?」
 「いいのです。私の役目はあくまで”足止め”であって”討伐”ではない。それに、眠らせてしまえばあとは他の誰かにあなたを握りつぶしてもらえばいいので」
 「そういうことね。じゃあ、人間巻き込んで戦ってみっか?」
 「・・・!!」



 男が笑うと、いきなり強い風が吹く。
 シェドレは腕で口と鼻を覆いながらも、目だけはなんとか開けたまま男を追う。
 近づこうともなかなか近づけず、男は楽しそうに笑いながら空へと向かっていくと、いきなり周りが暗くなる。
 夜になったように真っ暗になったが、もちろんまだそんな時間ではないはずだ。
 シェドレは男に向けてチェーンのようなものを投げつけるが、男に届く前にそれは 蛇へと姿を変える。
 今度はその蛇がシェドレのほうを向いたかと思うと、牙をむき出しにして襲い掛かってくる。
 シェドレはその蛇を素手でつかむと、そのまま握りつぶす。
 蛇の身体は臓物が出ることもなく、綿毛となってふわふわ飛んでいく。
 「お前はさ、さっき”神災”と言ったが、ちょっと違うんだよな」
 「一体何が違うんですか」
 「人間たちに降り注いでいる災害はすべて”神裁”だ。それをただの”神災”にしてはいけない。だから人間たちはいつまで経っても何の成長もしないんだ」
 「人間たちを裁いているだけだから問題はない、と正当化でもしているつもりですか」
 「正当化?違うな。正しさそのものだ。正当化するのは人間だけ。正当化したがるのは人間だけだ。俺たちのような存在はそんな必要がない。なぜか?すでにそこに存在しているだけで正しいからだ。言うこと成すことすべてが正しい」
 「まるでガキ大将のような言い分ですね」
 「なんとでも言うんだな。お前も所詮は俺たちのような尊い存在ではない。代わりなどいくらでもいる、どうでもいい存在だ」
 「代わりですか」
 男はテーブルからぴょんっと床に足をつくと、シェドレの顔すれすれまで顔を近づけてにんまりと笑う。
 にらみつけているようには見えないシェドレだが、男は「怖いな」と言って数歩だけ後ろに動く。
 「人間の代わりはいくらでもいる。だから多く存在している。群れを作り同類を好む。なんとも嘆かわしい存在だ」
 「各々が別個体として存在している以上、そこに”代わり”は有り得ません」
 「有り得るよ。有り得る。というか、そういうものとして神は人間を創り出した。個人として存在したい欲求があれど、結局は多くの中のひとつとしてでしか存在が出来ない」
 男は何かに気づく。
 床に落ちている真っ赤なリンゴ。
 それを拾うと、男は特にリンゴの皮を拭くこともなく口へと放り込む。
 口の端からリンゴの汁が滴り男の頬を伝って床へと落ちていこうとするが、その前に男は自分の腕でその汁を拭う。
 「うん、不味い」



 「人間は本当にすぐ調子に乗る。生意気だなあ。俺たちがちょっと遊んだだけですぐに喚いて嘆いて泣いて怒って。何様のつもりなんだろうな?」
 「・・・・・・」
 「また一回一掃した方がよさそうだよな?お前もそう思うだろ?」
 「・・・賛同は致しかねます」
 「そりゃ残念だ」
 不味いと言いながらも最後の一口となったリンゴを流しこんだ男は、大きな欠伸をする。
 「お前さ、人間のこと嫌いなんだろ?なのになんで俺の邪魔するわけ?」
 「・・・・・・」
 「ああ、そうか。好きな人間がいるからか。そいつらのために頑張ってんのか。ご苦労なこったな」
 「・・・・・・」
 「けどお前も知っての通り、人間は裏切るぞ。嘘だって簡単に吐く。神が作った中で一番の愚作だ」
 自らの細い、しかしごつごつとした骨ばった左右の指を同じ指の腹同士をくっつけて掌には少し空間を作ると、男はその空間に自分の鼻と口を隠すように顔につける。
 口元も目元も緩やかなカーブを作ると、シェドレに向かってこう言った。
 「二度と俺の邪魔をするなよ」
 瞬間、シェドレの身体を通り過ぎて、後ろの壁や花瓶が一気に壊れていく。
 平然と立っているように見えたシェドレだが、その耳と鼻からはツゥ・・・と血が垂れてきた。
 シェドレがそれを軽くて腕で拭うと、男は指を離してそのまま中指を歯で噛む。
 「まったく。しぶとい」
 「あなたのことはちゃんと調べています。どういった能力があってどういった攻撃があるのか。用意できる範囲で対策はしてあります」
 「対策、ねぇ。対策しきれてねぇけど。お前ら人間てのは本当に群れるのが好きだな。一人じゃ何もできねえくせに」
 「”群れ”ではなく”協力”です」
 「くだらねぇ」
 「くだらなくても結構です。私たちは確かに弱く脆い。独りでできることなどたかが知れています。簡単に自分以外のものを傷つけ、奪い合い、優劣をつけたがる。あなたの言う通り、くだらない生き物です」
 「なら肩入れするな。俺たちを敵に回すつもりか?」
 「・・・正直、以前はどちらでもよかったのです」



 「あ?」
 「あなた方側につこうが、人間側につこうが。興味ありませんでした」
 「だろうな。だから驚いてるんだよ。なんで今更邪魔してんのかってな」
 「・・・ご縁というのはわからないものですね」
 「ご縁・・・?」
 一体どういうことかと思っていた男だが、なんとなく察したようだ。
 ぐぐ、と強めに嚙んだ中指からは少し血が出てきてしまっているが、それに気づいてもいない。
 笑顔を崩さないままの男は、口から指を離す。
 「人間がよく言うよな、その”ご縁”ってやつ。巡りあいっていうの?そこにわざわざ運命だの偶然だのと言葉をつけたがる」
 「そうですね」
 「あいつらはただ、自分がどれだけ恵まれているかっていうのを他人に示したいだけなんだよ。だからそういう言葉を探す。そこに意味なんかねえのに。いちいち意味をつけて幸不幸を勝手に判断する」
 「ええ、そこに優劣などないのに」
 「で、どんなご縁があったって?俺が全員殺してやるから教えてくれよ」
 「そうストレートに言われたら余計言えませんね」
 「言ってくれよ。ここだけの話さ、こんなところで邪魔されるとイラつくんだわ。だからなるべくならお前には目をつむっててほしいわけ。わかるよな?」
 「・・・あなたは実に人間らしいですね。人間と多く接してきたからでしょうか」
 「あ?喧嘩売ってんか?」
 「私より人間っぽいですよ。自覚がありませんか?」
 「ねぇよ。ってか有り得ねえ」
 「有り得なくはないのでは?」
 「・・・てめぇ」
 「例えば」
 「あ?」
 すう、とシェドレは目を細めると、口の端をあげて笑う。
 「自分にとって有利、不利、どちらの存在かを判断するところ」
 「そんなの俺じゃなくても」
 「例えば」
 「あ?」
 男の言葉を遮るように、それか男の声が聞きたくないのか、聞かないようにしているのか、シェドレは続ける。
 「自分が”人間”という種族より”優位”であることに優越感を持っているところ」
 「いい加減に」
 「例えば、他の神に何かあっても”対岸の火事”であること」
 「対岸?なんだそりゃ」
 「例えば、あなたと似た性格の神を生み出していること」
 「コールのことか?別にいいだろ、そのくらい」
 「同類を作る、というのは人間と同じです。そして自分に合わない者は排除する。これも人間と同じです。あなたは人間のことを愚かだのなんだのと仰いますが、まるでご自分のことを言っているようですよ。そこまではご理解に及びませんでしたか?」
 「・・・おい、まじで殺すぞ。お前こそ、調子に乗るなんざ人間みてぇだな」
 「調子に乗ってなどいません。事実を申し上げたまでです。あくまで客観的事実に基づいた内容ですので、あしからず」
 「コール」
 男がそういうと、男の隣にはいつの間にかもう一人男がいた。
 流し目の下には三角形の模様がついており、舌にはピアスをつけ、爪も長くネイルをしているようだ。
 さらに滑稽に見えるのは、白を基調とした丈の短い着物に黒い帯を巻き、膝少し下くらいまでのズボンに下駄という恰好だからだろうか。
 「どうしたのー?僕今楽しく遊んでたのにー」
 「悪い。こいつがな、俺たちの邪魔をしようっていう悪い奴なんだ。今から殺すから手伝ってくれ」
 「一人でやってよ」
 「嬲り殺したいんだよ」
 「なるほどね。りょーかい!」
 コールと男に挟まれたシェドレは身構える。
 一瞬、ほんの一瞬の間に、男とコールはシェドレの右腕と左足をつかみ、引きちぎろうとする。
 身体をひねってなんとか逃げようとしたシェドレだったが、あまりに速い二人の動きに危機を感じる。
 「まずは単純な痛みからいくか」
 「さんせーい」
 「・・・!!!」



 男とコールは、シェドレから離れていた。
 シェドレが一体どうやって逃げたのかというと、シェドレが何かしたわけではない。
 ふらっと現れた別の男は、腕まくりをするとシェドレに向かって一言だけ。
 「邪魔だ」
 「それに関しては俺も同意だ」
 「えー、誰?」
 真っ黒な髪をした真っ黒な服の男。
 三人の攻防戦を見ているシェドレは、予備の水晶を手に持つと、そこに集中して何かを見る。
 するとそれにコールが反応し、シェドレに向かって行く。
 しかし、それも黒い男が邪魔をする。
 「あいつの邪魔するな」
 「もー!!なんなの!この人思考が読めないんだけど!!やりにくい!!」
 「お前なんだ?あいつが言ってた”ご縁”ってやつか?」
 「なんだそれは」
「お前もそいつと同じで人間になり損なったくちか?お前ら本当にウジ虫みてぇだな。そこら中に湧いて出てきやがる」
 「逞しいと言いたいのか」
 「なんだこいつポジティブなのか」
 「この方はポジティブなわけではありません。自分に都合の良いように脳内変換ができるだけです」
 シェドレが持っていた水晶玉が光ったかと思うと、男とコールに向けて言葉を放つ。
 「これ以上私たちに危害をくわえようとするなら、手足がもぎれるでしょう」
 「何言ってるのこいつ」
 「待てコーr・・・」
 コールの名前を呼び終わる前に、シェドレに襲い掛かろうとしたコールの片足がいきなり斬られる。
 そのままバランスを崩したコールだったが、残っている方の足で床を蹴って空中を回転しながら着地するころには足が再生されていた。
 「怖い痛い怖い痛い怖い痛い殺したい」
 「コール、落ち着け」
 「だってあいつ僕の足斬ったよ。痛かったもん。殺さないと気が済まない」
 「俺が見ていた限り、あいつが斬ったわけじゃなさそうだ」
 「でもあいつのせいだ」
 ネイルが塗ってある長い爪をがりがりと強く噛みながら苛立ちを隠すことなく見せてくるコールの肩に手を置くと、シェドレが持っている水晶玉を壊そうとそこに集中する。
 「あ」
 そこへ、黒い男が蹴りを入れてくる。
 避けきったと思っていた男とコールだったが、男は自分の赤髪がその蹴りの風圧なのか威力なのか、とにかくそれによって一部切られてしまったのを見つける。
 コールはコールで顎下から蹴りを受けたらしく、口から血を流していた。
 「ムカつくムカつくムカつく!!!!」
 「俺は黒い奴を殺す。お前はシェドレを殺しとけ」
 「どっちも殺す」
 男とコールはそれぞれの相手に向かっていくと、足元がぐらついた。
 先ほどまで普通に床として認識し歩いていた場所が、宇宙のような、なんとも言えない空間へと変わっていたのだ。
 「・・・空間能力者ってのは本当に厄介だよな」
 「あれ?ねえ、どうやってあっちまで行けばいいの?」
 「俺は想像で行けっけど・・・。お前動けねえか?」
 「なんか眠いかも」
 「・・・しょうがねぇ、ずらかるか」
 「逃がさねえよ」
 黒い男は、この空間の中を移動してきて、まずは動けないコールを蹴り飛ばす。
 「・・・・・・」
 それを見ていた男は、自分のほうへ飛んでくるコールを身体で受け止めながら、シェドレに向けて笑みを向けてきた。
 手をひらひらさせたかと思うと、黒い男は何かに気づいてすぐ男の方へと行くが、すでにそこに男とコールの姿はなかった。



 不思議な空間から先ほどまでシェドレたちがいた部屋へと戻ると、黒い男は短い黒い髪を一度だけかきあげる。
 「おい、逃がしたぞ」
 「あなたが一気に仕留めようとしたからです」
 「お前が喧嘩弱いからだろ」
 「なぜここへ?どうやって来たんですか、ノア」
 ノアと呼ばれた男は、腕を組んでため息を吐く。
 「そんなことより、お前相変わらず弱いんだな。あいつを捕らえるつもりならもっと腕あげとけ」
 「私の忠告は絶対なので、あの方はいつか私ではない誰かによって滅ぼされます」
 「ま、あんまり人間と関わらないようにするんだな」
 「それはお互い様では?」
 「・・・・・・」
 「あなたこそ、私より人間じみてきているのでは?」
 「人間という存在に興味はある。英明に聞いてもよくわからん。どのみち、滅ぼすも生かすも決めるのは俺たちじゃない」
 「あーあ。こんなに部屋を散らかしてしまって。片づけてくださいね」
 「じゃあ、俺は戻る」
 「片づけずに戻るんですか」
 「そもそもお前が弱いからだろ。あの時俺が来なかったらお前は今ごろ」
 「今度来るときは手土産を持ってきてくださるといいですねぇ。出来ればコーヒーに合うものを。コーヒー豆でもいいですね」
 「そんなもん飲んでる暇があんなら、あいつをなんとかする方法でも考えとけ」
 ため息を吐きながら、ノアはすう、とどこかへ消えていった。
 残されたシェドレは、特に部屋を片づけることもなく、床に落ちている何かに気づいて、それを手に取る。
 深く光る青の石、あの男の胸に光っていたものだろうか。
 静まりかえる部屋に、どこからか温い風が吹いてきて、シェドレの青い髪を躍らせるように流れていく。
 彼らがなぜ人間ではない存在として生かされているのか、それもまた、神の思し召しでしかないのだ。

 「ええ。天性のトリックスター、ロキ。ぶっ潰しますよ、必ず」





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登場人物紹介

ルート/タカヒサ

『お前だから俺は信じたんだ』

『俺は誰かを犠牲にしてまで得たいものなんてない』

斬冝/煙桜

『お前みたいにはいかねぇな』

『お前はお前の、俺は俺の』

シェドレ/ノア

『今度会うのはいつになることやら』

『それこそ占えばいいだろ』

柑野/紫崎/碧羽

『俺の見せ場だな』

『バカ野郎』

『阿呆』

白波/星羅

『兄貴がいない』

『兄貴がいない』

空也/ジンナー

『イケメン主人公は俺だから』

『はいはい』

淋鵝/海浪

『いつかまた勝負だ』

『やだよ、面倒臭ぇ』

天花/将烈

『振り向かず進んでください』

『後ろ髪引かれんだよ』

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