2A 人生最高の瞬間を

文字数 695文字

 悪魔と契約し、真っ先に顔を良くした。整形と思われてもいいのだが、見栄を張って徐々に整っていく奇跡を起こした。
 仕切り直して次は記憶力を良くした。脳の処理能力も上げた。
 目も耳も良くなってあとはひたすら勉強。学習が苦じゃないなんて、頭のいいやつはずるいよな。
 睡眠時間が3時間で足りるようにフィジカルも改良し、メンタルも鍛えた。
 会社を辞め、宝くじを当てて贅沢も覚えておく。
 なんてたってこの1年が勝負!
 幸福への道筋は見えている。
 俺は蝉だ!
 蝉は案外長生きなんだ。
 長い雌伏の時をへて、俺はここだと全力で叫ぼう!
 俺は彼女と同じ大学に入学した。演劇を学ぶ彼女と映像学科に入学した俺。
 作品への出演依頼で近づき、彼女を売り出す足掛かりにするんだ。
 社会人を経験してからの学生ということで、頼りになる大人を演じよう。
 学生生活は序の口だ。
 英語も法律も業界も習慣も全部インプットしてある。
 渡米した後も、俺はいつだって彼女の支えとなるんだーー。
 


 


 

Speak Speak


 


 


 ーーそう、すべてはここからだ。
 ユウミを誘ったのは俺の仲間。そいつが俺にユウミを紹介する。
 アメリカナイズされているユウミ。
 差し出された手を、俺は握り返す。
 ああ! 満面の笑みが返ってきた!
「主演なんて初めて! ありがとう!」
 ここから!
 ここからユウミーンミーンミンーー。
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