第1話 子守唄の残滓
文字数 264文字
「知ってる?あそこの廃墟の落書き。」
誰が言い始めたのか古典的な物語。
「女の絵が描いてあるの。子供を身籠った女の人。何枚もあるんだって。」
「最後に彼女は死んじゃうの。」
「最後の1枚まで見るとね、鼻歌が聴こえてくるんだって。」
「鼻歌を聴いたらね、」
助からないんだよ。
「下らないな。」
少年は透けた身体を太陽に晒して吐き捨てた。
「少なくとも、僕には効かないからね。」
晩秋の風が、コンクリートの隙間から流れ、真っ赤なカーテンが揺れた。
「さあさあ。愉快な噂の主はどこかな。」
少年は回転ベッドから飛び降りると、壁に描かれた女性の身体を撫でた。
誰が言い始めたのか古典的な物語。
「女の絵が描いてあるの。子供を身籠った女の人。何枚もあるんだって。」
「最後に彼女は死んじゃうの。」
「最後の1枚まで見るとね、鼻歌が聴こえてくるんだって。」
「鼻歌を聴いたらね、」
助からないんだよ。
「下らないな。」
少年は透けた身体を太陽に晒して吐き捨てた。
「少なくとも、僕には効かないからね。」
晩秋の風が、コンクリートの隙間から流れ、真っ赤なカーテンが揺れた。
「さあさあ。愉快な噂の主はどこかな。」
少年は回転ベッドから飛び降りると、壁に描かれた女性の身体を撫でた。