隠れんぼ

文字数 284文字

 あずきはふと気づくと、見知らぬ街の中に居た。何となく、日本ではない事はわかった。石で舗装された道や家の塀は夕焼けで真っ赤に染まっている。散策する事にした。誰ともすれ違わないまま、角を曲がると、裏庭にある倉庫の陰で、女児が膝を抱えて泣いている。見つけてもらえないのか。声を掛けようとしたところで目が覚めた。

「間に合わなかった」

 でも、まだ、大丈夫。ベランダの植木鉢に水をやっていた親友の肩を叩いて言った。

「見つけた」

 柘榴色の瞳をぱちくりと開かれ、しかしすぐにそれは美しい――それでいて今にも泣き出しそうな笑みに変化する。

Большое спасибо(ほんとうにありがとう)、ボクの親友」
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