真面目の罠

文字数 2,062文字

真剣である必要はあっても真面目である必要はない

これは多くの同級生や知人から聞く後悔である。
貴方がいわゆる「いい子」であった人であるなら共感できるものであろう。
好きでも無いのに真面目にただ授業を受ける。遊びたい気持ちを我慢して部活では談笑したりさぼる部員をしり目に一人だけで練習をする。
寄り道の誘いを断りまっすぐ家に帰り、家で高々一時間もないわずかな娯楽を楽しみ、勉強し、家族の誰かに頼みたい生活の雑事のすまし22時頃には眠る。そして6時に起きる。
同級生やふざけて居た面々は徹夜でゲームをしたり通話をしてうつつを抜かしている。
そんな奴らに軽蔑と自分でも隠し切れない羨望の視線を向け続ける。
そしてそれを学生生活の間繰り返す。


そんな生活である。
社会人については除外した。ほとんどの人の生活が仕事あるいは家事育児などを中心になるからだ。

真面目であることを美徳として人は褒めるだろう。だがそれだけで何一つあなたに与えてはくれない。真面目であったとしても結果が出なければ評価はされないし、むしろ遊んで結果も出している奴の方が評価を受ける。
真面目という美徳とはそういう役に立たないものであり、人間を都合よく使いつぶして捨てる連中が奴隷を求めるために使うことが多いのだ。(もちろん、社会で生きていくうえで本当に重要であるものもある。)
教育者にしても、何も言わずに勝手に自分からすべきことをやる存在は手がかからず都合がいい。だから真面目さを美徳とするのだ。実際はがかかったクソガキほど記憶に残り寵愛する癖に、だ。

失礼。私怨が漏れた。


そして使いつぶされるように使われて初めて気づくのである。大人になればなるほど遊べる時間がないと。自分は全く遊びを知らないと。自分が義務感でのみ生きてきたと。
好きなものに打ち込める、つまり遊べる時間が重要であったと。

かならずこうも思うのである。もしもあの時あの面々の誘いを乗っていたら
もしもあの時遊んでいたら、と。
そしてアピールできるものもなく後悔だけが残り新しいもの探す労力を生み出せないまま仕事に使いつぶされるのだ。

そうならないためにはっきり言おう。
「真剣になる必要はあっても真面目になる必要はない」と。
早い話、100点以上を目指す必要はないのだ。どうせなら合格ラインぎりぎりを目指すぐらいが精神にやさしくいろんなことが出来るのでちょうどいいだろう?ということだ。
もちろんあなたが東大に進学して起業するとか、部活で絶対に県大会優勝、全国制覇などを掲げているのであれば遊ばないということもやぶさかではないだろう。否定する気などない。


大半の人間にとって人生はやるべきことが積み重なったタスク処理のようなものであり、それ故に真面目の罠に陥ってしまうのだ。


「遊ぶ」ということを知っているといないとでは人生においての考え方は大きく変わる。
何をすればストレスが解消されるのかという「自分の息抜きの仕方」を発見・理解できるのである。そして自分の限界を知ることにもつながる

そしてそれらは体の休憩、リフレッシュではなく精神のための物であるのだから。



軽視されがちであるし、分かっていない人が多いのが現状であるが、元より人間の精神とは不安定なものだ。強いものなどでは絶対にない。
雑な証明だがこの本を読んでいる今この瞬間から過去にさかのぼること5年の間、一度も感情を表に出さずに抑えられていたという人はいるだろうか。いるはずがないだろう。それだけ人間にとって精神=心とは制御が難しいものなのである。抑え込むことすらできないのだから。
そして心の疲労は大きく圧し掛かるものである。自分ひとりしかわからないブレンドされた重苦しさが全身を蝕むのだ。他人は理解が出来ないから、その人の尺度でしか解決法を提案できない。根幹は自分でしか治せないのだ。

遊びというものは何も無意味なものではない。寄り道での雑談や下らない猥談(失礼)、立ち寄った店の食べ物など、それらは貴方の人格に大きな影響を及ぼす。たまたま親友がつぶやいた一言が助けになることもある。たまたま見た芸能人を応援することが生きがいになることだってあるのだ。この社会ではたくさんの依存先を持てば自立というぐらいなのだから。


何が言いたいのか。
自分の精神を豊かにするために遊ぶのがいいよ、遊ぶべきだよというわけではない。

真面目に生きるという生き方を選ぶことを否定したいわけではない。あくまでも「不本意に」真面目に生きる危険性を説いたつもりだ。
人生はtodoリストではない。自分のために何か好きなことを探し、その「なにか」のために生きる選択肢を持っていてほしいのだ。
義務だけのためにあなたは自分の感情を握りつぶして生きていくのか?と問いかけさせてもらう。
与えられたものに対してベストを尽くすことは必要ではあるが、それがすべてではないのだから。
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