コメディリリーフ

文字数 2,052文字

 第11章の旧題は「王女と侍女」でした。この二人が重要な役割をするのでそうしたのですが、初めから最もタイトルがつけにくく、悩んだお話でした。

 『アルタクティス 〜 神の大陸……』は全体としてはシリアスな物語で、その中にミステリだったりアクションだったり、冒険や恋愛と欲張り過ぎて、だいたいの要素を含んでいます。

 そもそも、もとはブラインドタッチの練習だけに(理由はのちに掲載予定)、完全な自己満足で始めたことですし、思い入れも強かったので、これ以外の作品を作る気も、作れる気もとてもしませんでした。結局、その趣味はやがて本格化して、『イルマの東へ』と続編『イルマの東へ2~Knights of Winder Kingdom~』という新作を勢いのままに書き上げることになったのですが・・・。

 そして旧題「王女と侍女」は・・・。

 管理が大変な群像劇を無謀に書きだして、自分でも気づかないうちに疲れちゃったんじゃないか・・・と思うような、そんな本編の中でもコメディ要素の強いお話。つまり、言ってしまえば、ドタバタ喜劇なんです。ほとんど真面目な外伝集『アルタクティス ZERO』だけを読んでくださった方には恐らく想像できなくて「は・・・?」と思われるかもしれませんが、そうなんです。

 初めからピンとくるタイトルをなかなか考えられませんでした。

 誘拐事件が軸になっているので、「お騒がせ誘拐事件?ドタバタ誘拐事件?喜劇の誘拐事件?滑稽な誘拐事件?」と、どれも本来の作風に合わないどころか、ふつーに変・・・。で、いったん考えるのを止めて仕事へ行き、職場でもついつい考えてしまい、発想を変えてそのまま「王子と王女誘拐事件」。

 それはそうなんだけど・・・ゴロも悪いし、もうちょっと何かこう・・・「王族誘拐事件」・・・硬すぎる・・・こんな本格サスペンスだと思われそうなのも困るし(コメディなので)・・・と。

 やんわり「片思い誘拐事件」。なんか合わないな・・・まあとりあえずこうしておいて・・・。

 そんなこんなで、最終的には「恋敵(こいがたき)誘拐事件」となりました。ゴロはいいけどまだやっぱり硬いので、ほんとはカタカナかひらがなを入れたかったのだけど・・・。

 それで、喜劇って何かに言い換えられないのかな・・・と調べた時に知った言葉。

 コメディリリーフ。

 あれ・・・? 私が自然とやってきたことって、思いっきりこれじゃない?と。

 つまり、コメディリリーフ(コミックリリーフ)とは、★「深刻な物語の中に、緊張を和らげるために現れる、滑稽(こっけい)な登場人物・場面・掛け合いのこと」 ★「劇や映画などで、深刻な、あるいは粛然とした場面において滑稽なエピソードを挿入して緊張を解き、緊迫した感情を一瞬間和ませること」 ★「シリアスなだけのお硬い作品ではなくなることで、作品への理解をスムーズにするだけでなく、登場人物たちに親近感を沸かせることで感情移入しやすくなる」といった効果をもたらす手法、とのこと。

 そこで、私が書いた物語は3作。そのキャッチフレーズですが・・・。

●『イルマの東へ』=「仲間とともに生きて王都へ」。
●『イルマの東へ2 ~ Knights of Winder Kingdom ~』=「争いの無い時代へ・・・」。
●『アルタクティス ~ 神の大陸 自覚なき英雄たちの総称 ~』=「全ての精霊を運ぶことができる風の神。その一人を支えるために・・・」

 上記のことから察していただけると思いますが、どれも根幹はけっこうなシリアスです。でもふと気づいたら、そのどれもにコントのようなやりとりや、ボケ・ノリ・ツッコミ(意外と関西人精神旺盛です)があったりします。

 長い旅路の話がメインで、総文字数150万字を越える『アルタクティス』とはまるで比較にならなくても、『イルマの東へ』とその続編も17万字ある長編です。ちなみに、あるサイトでは、コンテストの長編部門は10万字以上とされていました(この時に知ったのですが、そもそも長編といえば『アルタクティス』規模 のものをさすと思っていました) 。

 コメディリリーフの説明文を読んだ時、あくまで私自身は、長編といえる規模の真面目な物語の中で、たまに出てくるコメディ要素くらいが定義にちょうどよく当てはまるのではないかと感じました。

 そういえば、例として ★「『ドラえもん』では、ドラえもん・のび太・ジャイアン・スネ夫・しずかといった主要キャラクターが全員が、それぞれコミックリリーフの役をこなすと同時に、シリアスな部分も持ち合わせている。」「 しずかには一見、コミックリリーフの要素がないように思われるが、のび太にお風呂を覗かれて〝のび太さんのエッチ〟という定番シーンは、コミックリリーフの場面・掛け合いにあたる。」(Wikipedia) と書いてありました。

 「シリアスな部分も持ち合わせている。」ということなら、個人的にはテレビシリーズだとピンときませんが、映画『ドラえもん』はまさにそうですね。




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