第13話

文字数 494文字

これは、世紀の大発見だ。
平井技師は、足だけでなく、体中がガタガタと震えてきた。
まあ、俺、落ち着け。幽霊の話をしたところで、みんなに頭がおかしいと思われるだけだ。まずは、石棺を開けて、内部を調べてからだ。


朝が来た。今日は土曜日。空は、気持ちいいくらいの快晴だ。藤ノ木古墳の前は、テレビ局のカメラマンやリポーターでごった返していた。その周りを野次馬が何重にも取り囲んでいる。タクミは、野次馬の中にケントの姿を見つけた。

「オッス、ケント」
「おはよう、タクミくん。平井さんから連絡あった…?」

「何もないよ。オレたちの話、信用してくれてないんやろうな」
「金の飾りの調査結果も、そのまんまやしね」

「というか、ちゃんと返してくれるんかいな」
「とうとう、蓋、開いちゃうね…もうすぐ、僕たち、死ぬんだよね…?」

「蓋が開いたら、何が起こるのかなあ」
「でかい隕石が落ちて、日本がこっぱみじんになるとか?」

「すごい地震が起こって、日本が海に沈んじゃうとか?」
「僕、家を出てくるとき、お母さんに『産んでくれてありがとう』って言ったんや。だってもうすぐ死ぬんやから、最後にこれだけは言っておかんとあかん、って思って」
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