第8話

文字数 312文字

賽の河原に石を積む。
女王の子が育つと、男たちはその子を取り合った。

ひとり減り、ふたり減り。
最後に残った僕も、果たし合いで深手を負った。

もうダメだ。

僕らは、迫害されて、逃げた。
そして、たどり着いた。
女王の国。
現代の邪馬台国。
けれど、ここは、ただの同じ国だった。

女王は、尊く、みんなのものだった。
しかし、子はひとりしか産まれなかった。
思えば博愛の旗印の下の航海で、僕らは4人を見殺しにした。

そしてここで殺し合った。
生き残れば、仕合わせになれると思っていた。

僕が死んだ、少しあと。
女王は後悔していた。
その手にかけた、わが娘。

涙も出ず、ただ呆然と、石を積む。
ここは賽の河原。
わたしひとり。
幸せです、と。

不細工なうたを口ずさみながら。
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