第1話 メゾン桜、オーナー・チェンジ
文字数 1,991文字
厚生年金を担保に入れ、福祉機構から金を借りている。その借金で山田にはハイスペック過ぎるクーラーと冷蔵庫と洗濯機を購入した。
年金から返済があるため、生活がカツカツ。
水晶のペンダントをしている。野良猫を飼っていたので注意したら、変な呪文を唱えだしたので今は関わらないようにしている。
婚姻歴無し。プライドが高く、自己満足の同じ話を延々と繰り返すので一番苦手。
生活保護費と遺族年金を二重取りしていたため、市の職員とバトル中。
最近警察から前入居者についての『捜査関係事項照会書』が届いた。
退去済みでセーフ。
日本人とパキスタン人のハーフ。栄養士の学校に通っている。寮が改修中のためここに入居した。
さっそく昔からの知り合いの不動産仲介業者、田端さんに相談した。
すぐに若いサラリーマンを連れて来た。
2週間後、いよいよ取引の決済日。金融機関に全員集合すると、イケメンの司法書士がいた。
明るいケイラちゃんとおしゃべりできなくなるのだけは寂しいな。メゾン桜と自宅は近いけど、見に行くのは決まりが悪いような……
内海司法書士が、メゾン桜の所有権移転と担保設定を申請。
メゾン桜はとうとう私の手を離れてしまった。
そして私は最後に北川さんに鍵を渡した。
そんなある日、我が家の家庭菜園にひょっこりケイラちゃんがやって来た!
それからもケイラちゃんは、野菜の収穫を兼ねて我が家を訪ねてくれるようになった。
不動産賃貸業には裏側がある。修理、退去、固定資産税、そしてまた修理……北川さんの自己資金は底をついたか。
実はケイラちゃんはまだ自宅の2階に居る。
先月でメゾン桜を解約して、我が家の2階に間借りすることになったのだ。
家事をやってもらう代わりに家賃は無し。ケイラちゃんは栄養士の勉強をしているだけあって、私達夫婦に合った献立を作ってくれる。
ケイラちゃんに乗っ取られそうだけど、それでもいいかな、と夫婦で笑っている。