第7話

文字数 1,956文字

そして、クルマで蒲田から多摩川を超えて京急川崎駅まで行った。
「優也]
「何?」
「タカアキに降られたよ。ゲロ吐く女は、嫌だとか言ってね」
「そう」
「新木場で無理矢理下ろされて、帰ってきた」
「へぇ」
 国道の横を、京急電車が、カタンカタンと音と立てて走っている。
「優也」
「何?」
「優也の好きな京急快特」
 優也は、これから川崎まで食事に行こうとしたが、本当は、食事よりも、横に走っている京急快特が気になっていた。
 BGMには、いきものがかり『ブルーバード』が、流れていた。
 優也は、仕事から帰ると、野球のゲームか京急快特のYouTubeを観る。そして、12時に寝ている。
 他は、女優の有村架純のファンくらい。
「優也」
「何?」
「丼はやめて、京急川崎駅にしない?」
「え?」
「そして、川崎駅から優也の好きな京急快特で横浜まで行こう」
「いいの「?」
「だって、優也、いつもお世話になっているから」
「そうか?」
「横浜でおいしいご飯にしよう」
 そうミユキは、優也に提案をした。優也は、京急川崎駅前の近所のパーキングにクルマを停めて、京急川崎駅のプラットフォームに向かった。
 京急川崎駅のプラットフォームには、坂本九「上を向いて歩こう」が、流れた。その時、快特三崎口行きが、品川方面から入ってきた。
 ミユキは、有村架純の看板の横にいた。
「優也、観て」
「ん?」
「優也の好きな京急快特よ」
 ミユキは、スマホで写メを数枚撮った。到着メロディーと共に、ホームドアが開き、車内のドアも開いた。
 都心からの通勤客が、バサッと降りた。ミユキは、楽し宇にはしゃいでいる。
「優也、乗ろうっ!」
 ミユキは、優也の手を引っ張って車内に乗りこんだ。「「発車します。ご注意ください」とアナウンスが流れた。ホームドアが、閉まり、車内のドアも閉まった。
「かっこいいね、京急快特って」
 電車は、サイレンを鳴らして、これから、川崎駅から横浜駅に向かう。
 優也とミユキは、二人掛けの青色のシートに座った。優也とミユキは、二人で缶コーヒーを飲んだ。
 いつも二人共、スマホの動画かゲームしか興味がないが、二人でじっと海の方を見ていた。沢山の建物、夜遅いのに、まだ光をつけて仕事をしているオフィス、ヘッドライトをつけて、国道を東京と横浜を南北に行き来しているクルマがあった。
 二人は、時折、スマホを見ながら、しかし、時々、夜の暗闇を南に向かう電車と共にぼっとしていた。
 ミユキは、かばんからホワイトチョコレートを取り出した。今、快特三崎口行きに乗っているミユキは、楽しそうだ。
 その時、ミユキは、急に「
「~あなたとならばこの街を抜け出せる~と歌いだした。
「何だよ、急に?」
「いきものがかり『気まぐれロマンティック』だよ」
「分かっているよ」
「今の気持ち」
「うん」
「いきものがかり『気まぐれロマンティック』を追い越したかも」
「面白いの?」
「うん」
「そっか」
「優也と今、電車に乗って酔ってないもん」
 6分で240円。クルマなら首都高速で30分かかる。
 快特三崎口行きが、6分かかって横浜駅に着いた。横浜駅のプラットフォームには、いしだあゆみ『ブルーライトヨコハマ』が流れていた。
 「~歩いても歩いても小舟のように」と反対車線からメロディーが流れた。電車は、ベルを鳴らして、発車した。
 改札口を下りて、優也とミユキは、困った。
「持ち合わせは?」
「そんなにない」
 横浜駅から歩いてすぐのところに、ゲームセンターがあった。
「優也」
「何?」
「これから、<ぷよぷよテトリス>をしない?」
「え」
「で、負けた方が帰りの電車賃を、480円を払う」
「おう」
 2人は、横浜駅のそばのゲームセンターで遊んだ。テトリスをしたが、最初は、優也が勝ったと思ったが、最後は、ミユキが勝った。
「優也、勝ったよ」
「だよね」
「帰りの電車賃、払ってね」
 と言った。
 ミユキは、口をにっとさせてガッツポーズをとった。
 そして、ミユキは、よく知っているトンカツ屋で、トンカツ定食を食べて帰路についた。
「帰ろうか、優也」
「うん」
 優也とミユキは、2番ホームに向かった。帰りは、酔っ払いが多くいた。顔を亜からかにしている男の人も多い。
ーまもなく2番線に快特青砥行きが参ります
 とアナウンスが、流れた。快特青砥行きが、三崎口方面から入ってきたとき、「街の明かりがとても綺麗ねヨコハマ」といしだあゆみのメロディーが、流れた。
「優也」
「何?」
「京急快特よ、写メ獲ろう」
 とミユキは、言った。
 その時、先頭車両に女性運転士さんが、いた。優也は、気がついた。
 そうだ、今は、女の人でも運転士さんになる時代だ。そんな時代だ。バスの運転手さんもトラックの運転手さんも弁護士もお医者さんも多くなっている。
 サッカーの選手もそうだ。女子野球だってある。
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