第2話
文字数 593文字
真っ白だった視界が明るくなって目を開ければ、昔の祖国と思われる場所だった。街の姿が違いすぎて、最初は異国かと思ったが、見覚えのある山の形で確信した。本当に魔法を使っているヒトはおらず、その代わりに機械が主流なようだ。手のひらサイズの機械を耳に宛てて独り言を話すヒト、店の食べ物の支払いを金属の箱にお金を入れて済ませているヒト。着ているものも学生時代に本や新聞で見たような、ボタンやベルトがたくさんついたものが今時らしい。
「なぁ、どう思う?」
こっそりとローブの中に声をかける。しかしなにも返事が聞こえない。ポケットに手を入れると、確かに使い魔はそこにいた。しかし前のように、自分と同じ言葉を聞くことは出来なかった。ヴェヴェ、と威嚇のように鳴くだけである。
「なるほど、楽は出来ないってことかな」
魔法使いは眼前に広がる商店街へと足を運んだ。魔法がなくても、人々は楽しそうに笑い、悲しそうに泣き、腹立たしく怒っている。金品を丁寧にやりとりして、会話をして、果たしてこれが何年経てば自分が産まれた時代に進むのかと思ってしまった。魔法で騙し合い、盗み合い、殺し合い、明るくなかった祖国は、一体いつからだったのか。
「……ちょっとだけ、力を貸してくれよ」
使い魔に断って、ローブの中で魔法陣を描いた。自分への魔法は使えた。フクロモモンガに喋らせる魔法も試みたが、自分以外の対象には効かないらしい。
「なぁ、どう思う?」
こっそりとローブの中に声をかける。しかしなにも返事が聞こえない。ポケットに手を入れると、確かに使い魔はそこにいた。しかし前のように、自分と同じ言葉を聞くことは出来なかった。ヴェヴェ、と威嚇のように鳴くだけである。
「なるほど、楽は出来ないってことかな」
魔法使いは眼前に広がる商店街へと足を運んだ。魔法がなくても、人々は楽しそうに笑い、悲しそうに泣き、腹立たしく怒っている。金品を丁寧にやりとりして、会話をして、果たしてこれが何年経てば自分が産まれた時代に進むのかと思ってしまった。魔法で騙し合い、盗み合い、殺し合い、明るくなかった祖国は、一体いつからだったのか。
「……ちょっとだけ、力を貸してくれよ」
使い魔に断って、ローブの中で魔法陣を描いた。自分への魔法は使えた。フクロモモンガに喋らせる魔法も試みたが、自分以外の対象には効かないらしい。