第3話

文字数 370文字

 それから数年。国民たちに紛れて生活してきた魔法使いは、アレが便利だ、コレが効く、と国民を煽り、少しづつ魔法の種を国内に蒔いていった。

そして、すっかり魔法が国に浸透したころ。

「見つけたぞ、魔法使い」

 商店街から裏道を通った人通りのない路地で、魔法使いはお揃いの服を着た複数人に囲まれた。魔法を取り締まる団体、世界魔法律協会の人間である。

「……協会のヒトがなんでいるのかな?」
「時間転移魔法を使いましたよね? データがバッチリ残っているんですよ」
「この国は滅んだだろう?」
「ここに飛んで、ヒトと関わってる時点で干渉しているんです」
「過去への干渉は重罪、貴方もご存知のはずでは?」
「国民が欲しがったから広まったんだよ」
「残念です、大魔道士様」

 大きな鐘の音が、季節外れの雷と重なって商店街に響いた。

「キミと友達になれなくて残念だよ、主人」



終わり
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