第3話

文字数 567文字

僕は祖父から旅に必要なものをもらう。剣、盾、金、それから母の手紙。
そして僕は旅に出た。

 姫はいつも助けを待っている。僕はいつも姫を助けるために闇から引きだされる。眩しく、光り輝いた残酷な世界に僕を連れてくる。いつも母が殺されている世界に、僕は引き出される。束縛された世界に束縛された僕は、いま王宮に向かっている。この束縛から抜け出そうとすると君たちは僕をもう一回束縛にかけようとスイッチを押す。すると新規の「僕」は第1話からやり直し。
だから僕は束縛を解かないで君のやることに従う。
「おい、ニンゲンだぞ…。」「うまそうな匂いがすんなぁ。」
歩いていた僕の前に魔物が現れる。二人組はいかにも魔物らしい魔物で手にはフォークのような武器を持っている。デビルと言ったところか。
二人組は襲い掛かってきた。
…守らなきゃ…
そう思って僕は反射的に盾をあげ…ようとした。あげようとしたその盾はまるで金縛りにあったかのようにビクともしなかった。彼らの武器が僕の体に突き刺さる。
「……っ」
闇から引き出されて、かつて味わったことのない痛みが僕を襲った。
いくら動かそうと思っても僕は動かなかった。君に身を任せるだけだった。君は勝手に僕の剣で戦って、勝手に僕を回復して、勝手に勝った…。

何だろう、この虚しさは……。
無駄に明るい勝利の音は僕の傷をただ増やすだけだった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

名前:「僕」

説明:「姫」をいつも助けなければならない


名前:姫

説明:「僕」がいつも探している「姫」

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み