第2話

文字数 565文字

そんな風に考えていた12月初旬。
いや、そんな先の事だけじゃダメだ。
10年、どうにもならなかった閑散期。
けど、眼の前の冬を、今年こそ「冬だから稼げる」に変えなきゃ。
素人はだしの10年間。
ひたすら磨いた食材の目利きと取り扱いは、依然拙い調理技術を補って余りある。
山での知識のシェアと合わせて、それはそんなにたくさんの人が持ち合わせてはいない僕の武器だ。
良い塩、良い味噌、良い醤油。
それと惜しまぬ手間。
それだけで、なんでも魔法みたいに美味しく出来るんだ。
クリスマスは嫌い、なんて、言ってられない。
プレノワールのクリスマスチキン。
今から予約受付始めよう。
プレノワールは僕が知る限り、日本で2箇所しか生産してないフランス原産の鶏で、近くの山の上で飼育されている。
それを僕は処理翌日に取りに行き、冷凍せず炭火で焼いている。
これだけでも、行列が出来てもおかしくない商品だ。
そんな食材も、求める誰かに届かなければ台無しだ。
値段は高くなるけど、それでも頑張ってモモ肉一枚2000円台で収まる換算で提供している。
昨今の物価高のなか、生産者さんも僕も良心的で変な値上げなんかしない。
勉強の為に色んな食材を使って来たけど、もっとコレばっかにしても良い。
クリスマス。
ちょうど良い。
クリスマスチキンの販売をきっかけに、もっとプレノワールをアピールしていこう。


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