第3話

文字数 782文字

ヒロシさんが来るらしい。
彼は僕と苔屋の共通の知り合いだ。
それで山へは行かず迎える準備をしていると、若い女性二人組がご来店。
良かった、ヒロシさんありがとう。
炊いてあった天然きのこ豚汁(この豚汁の豚肉もハムやソーセージを無添加で製造しているハム工房の自家生産豚を、特注の生ブロックでいただいて手切りしたバラ肉である)にごはん。
プレノワールモモ七輪焼にクジラ刺し。
迷わず入って来たので「良く入って来ましたね」と水を向けると、教えてもらったんです、との事。
途端に緊張、教えた人の顔潰せない。
2人で会話してるからなるべく邪魔しない様に、食材の説明も最低限に。
ほどなくヒロシさんも来て、砕けたムードの中、思い切って誰に教えてもらったのか聞いてみると、苔屋。
なあんだ、と、どっと緊張が緩みぐだぐだ話してると、新聞記者さんらしく、苔屋を取材して、楽しかったので個人的にも来て、その中で当店の話が出たらしい。
そんな話から、取材の流れになった。
とりあえず、苔屋との連携の事、パスタ屋から現在のスタイルに変えた経緯、移住の事、食材の事、プレノワールのクリスマスチキンの事。
軽く写真撮影しながら。
苔屋から繋がったから、また詳しく話を聞きに来ます、コース料理も食べてみたいね、と。
僕もおかげで繋がった。
苔屋は新聞に載って、お客様増えた。
たぶん、その新聞社の人だと思う。
しっかり取材に答えていい記事書いてもらおう。
なんなら数まとまれば、プレノワールのクリスマスチキンを飯田とかまで配達行きますよ、とか。
翌日曜日もご予約のお客様のみ。
気温とともにすっかり冷え込んだ営業だったけど、日曜日のお客様も山菜ときのこのガイドに興味持ってくれたし、売り上げ以上に火種が得られた土日。
これを燻ぶらせるのも、燃やすのも僕次第だ。
この冷え込み、木枯らし、小雪ちらつくなか、なんとしてでも炎をあげるんだ。
やるぞ。
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