第1話

文字数 1,730文字

ナチズムと銭ゲバ

経済をまわせ
人なんかいくら轢き殺しても構わない
人の命なんてどうでもいい
とにかく ゼニだ ゼニこそ全てだ
この俺様がゼニを手にすることが全てだ
コロナだろうが 核戦争だろうが
そんなんで全人類が滅びようが
そんなことは俺には関係ない
とにかく ゼニさえ儲かればそれでいいんだ
ゼニだ ゼニだ とにかくゼニだ
人がどれだけ死のうと俺には関係ない

グローバル経済って
つまりそういうことじゃない

ゼニだゼニだゼニこそ全てだ
老人 殴れますか
九十歳の老女をゼニのために
ボコボコにして虫けらのように殺せますか
遠い異国から日ノ本の国に指令を出して
がっぽり稼ぐ鬼畜の輩
そんな闇バイトやらに群がる鬼畜たち
人の名に値しない鬼畜の群れ
これはグローバル経済が生み出した鬼っ子
この合理的な金儲けのリクツは
グローバル経済のリクツとどこが違うのか

つまりは根は全て同じなのだ
日々 こんなに人が死んでいるのに
とにかく経済をまわせという
人の命よりもゼニの方が遥かに大切なのだ

今日の新聞をめくると昨日
二月二日(木)一日の死者は二百三十一人
感染者数は四万五千五百一人
累計の死者数は六万九千百一人
これって 東日本大震災の犠牲者を
遥かにしのぎ百年前の
関東大震災に迫る犠牲者ではないのか
そして まだまだこれからも
犠牲者数は日々膨張するのだ

今 犠牲者の多くは老人である
老人など生産性がないから死んでも構わない
いや それどころかひたすら国民の税金を貪る
老人たちの大量の死は却って厄介払いともなる
とにかく 経済をまわすことが優先だ
政府はそう叫んでいるようにしか聴こえない
国民も いや この国だけではなく
世界中の人間が それに右手を高々と挙げ
熱い賛意を示しているように見える 
それでは まるで例のホロコーストではないか
理性は まさに 野蛮への退行を果たし
ナチズムは今日 グローバル経済と名を変えて
日々 世界中に浸透し本懐を遂げている

今 世界を支配しているのは
こんな単純で野蛮な原理
つまり 銭ゲバの原理なのだ
この単純すぎる幼稚なリクツこそが
この世界を駆動させている唯一のエンジンなのだ

政府は一転して 社会をコロナ前に戻せという
経済をまわせという コロナは全く収束せず
日々 膨大な数の犠牲者があるにもかかわらず
強力な変異株も次々と発生しているにもかかわらず
コロナを2類から5類へとインフルエンザ並みに格下げし
行動制限など全て取っ払い 経済をまわせという
インフルエンザはワクチンが安定して確立され
誰もが安心できる状態になっているではないか
しかし コロナはまだまだ変異を繰り返し
ワクチンだってまだ試行錯誤の段階ではないのか
外国人観光客も全て受け入れろという
補助金を出すからどこへでも旅行しろという 
とにかく ゼニを生みだせという 
学校も三年前 突然 鶴の一声で三か月間も
勝手に閉鎖しておきながら 今になって
学校行事もすべて元通りにやれという 
どんなに人をぎゅうぎゅうに詰め込んでもいい
とにかく元通りにやれと全く矛盾したことを言い出す
今こそあの当時より遥かに
学校でも感染者が出ているにもかかわらずに 
突如 無責任そのものに居丈高に言い出す始末
その根拠を一切 説明することもなく ただ一方的に
おそらくその唯一の根拠は政府の方針ゆえに つまり
経済をまわせという政府の方針に盲従しているだけなのだ
教育行政というのはある程度それぞれの地域が独立して
判断し行うものなのに これでは
戦前の中央集権体制そのものではないか
生徒にはふだんから自分の頭で考え判断しなさいと
教えながら自分たちは何も考えず判断も他人任せで
ただ 長いものには巻かれろ 上には逆らうな
何の議論もしないというのはおよそ民主国家のやることではない

病院がパンクして
おまえたち愚かな貧乏人が大勢 
自宅に放置され野垂れ死ぬのなんか全く構わない
とにかく 経済をまわせ ゼニを稼げ

ナチズムをエンジンとするこの暴走車は
いったい どこまで突っ走るのだろう
その先にあるのは破滅のみであろう
それはどう考えてもあまりにも明白なのに
どうしてもこの破滅への道を突き進むのを
やめることができない まるで
どこへ行くとも知らずに笛吹きにつき従う
ネズミたちの群れそのものではないか
グローバル経済時代の俺たちは
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