第2話
文字数 1,002文字
電車の窓から外の風景を眺めていた。暗くなりかけている街の風景が見えた。電車はガタンゴトンと音を鳴らしながら進んでいく。鞄の中に入れた封筒を確認する。厚みがあって、きっと一週間分のノートが入っているのかもしれない。
駅から歩いて十五分ほどのところに早見が入院している病院がある。僕は先生からその場所を教えてもらったのだが、僕も以前そこに行ったことがあった。健康診断でひっかかりそこで再検査をしたのだった。
病院は五階建ての建物で、周りには駐車場がある。受付で、名前を書いて早見の病室に向かった。
早見は個室のベッドに横になっていた。
「わざわざ悪いね」と彼女は言った。
「これ、先生から」
僕は茶色の封筒を渡した。
「ありがとう。でも私たぶん来年は受験しないだろうな」
「そうなの?」
「あまり病状がよくなくてね。もしかしたら高校を辞めるかもしれない」
悲しそうにそう言った早見の目には涙が浮かんでいた。
「先のことはわからないんじゃない?」
「そうね。でもどうしても暗い方に考えちゃうんだよね。そうしないと、そうなった時ショックだからさ」
早見はベッドの上で背伸びをし、窓の外の風景を見ていた。薄暗い景色だった。面会時間もそれほど残っていない。
「今は何してるの?」と僕は聞いた。
「本を読んでるの」
「何の本?」
「恋愛小説かな」
早見はそう言うと棚を指さした。確かにそこには様々な小説が並んで置いてあった。
「ところでさ、クッキーでも食べる? 親がいつも持ってきてくれるの」
棚にはクッキーの箱がいくつか置いてあった。
「飲み物買ってくるよ」
僕はそう言って、病室を出て、自動販売機のところまで行った。僕はそこで温かいコーヒーを二つ買った。
病室に戻ると、早見はじっと目の前の壁を見つめていた。なんだか学校にいる時よりも元気がない気がした。
「コーヒー買ってきたよ」
「ありがとう」
僕らはクッキーを食べ、コーヒーを飲んだ。時間は過ぎていく。面会時間は六時までだった。僕はクッキーを食べ終えると、病室を後にした。早見は僕に手を振り、悲し気な微笑みを浮かべた。
病院からの帰り道、辺りは暗くなっていた。街灯の光が等間隔に道を照らしている。僕はその中を、考え事をしながら、歩いていた。ふとこんな生活が当たり前のものではないと気づく。早見のようにこうやって過ごすことができない人もいるのだ。そう考えると自分は幸運なのだろうなと思った。
駅から歩いて十五分ほどのところに早見が入院している病院がある。僕は先生からその場所を教えてもらったのだが、僕も以前そこに行ったことがあった。健康診断でひっかかりそこで再検査をしたのだった。
病院は五階建ての建物で、周りには駐車場がある。受付で、名前を書いて早見の病室に向かった。
早見は個室のベッドに横になっていた。
「わざわざ悪いね」と彼女は言った。
「これ、先生から」
僕は茶色の封筒を渡した。
「ありがとう。でも私たぶん来年は受験しないだろうな」
「そうなの?」
「あまり病状がよくなくてね。もしかしたら高校を辞めるかもしれない」
悲しそうにそう言った早見の目には涙が浮かんでいた。
「先のことはわからないんじゃない?」
「そうね。でもどうしても暗い方に考えちゃうんだよね。そうしないと、そうなった時ショックだからさ」
早見はベッドの上で背伸びをし、窓の外の風景を見ていた。薄暗い景色だった。面会時間もそれほど残っていない。
「今は何してるの?」と僕は聞いた。
「本を読んでるの」
「何の本?」
「恋愛小説かな」
早見はそう言うと棚を指さした。確かにそこには様々な小説が並んで置いてあった。
「ところでさ、クッキーでも食べる? 親がいつも持ってきてくれるの」
棚にはクッキーの箱がいくつか置いてあった。
「飲み物買ってくるよ」
僕はそう言って、病室を出て、自動販売機のところまで行った。僕はそこで温かいコーヒーを二つ買った。
病室に戻ると、早見はじっと目の前の壁を見つめていた。なんだか学校にいる時よりも元気がない気がした。
「コーヒー買ってきたよ」
「ありがとう」
僕らはクッキーを食べ、コーヒーを飲んだ。時間は過ぎていく。面会時間は六時までだった。僕はクッキーを食べ終えると、病室を後にした。早見は僕に手を振り、悲し気な微笑みを浮かべた。
病院からの帰り道、辺りは暗くなっていた。街灯の光が等間隔に道を照らしている。僕はその中を、考え事をしながら、歩いていた。ふとこんな生活が当たり前のものではないと気づく。早見のようにこうやって過ごすことができない人もいるのだ。そう考えると自分は幸運なのだろうなと思った。