第1話

文字数 854文字

 「え~っ、残念。はえぬき*が欲しかったのに~!」(*山形産のブランド米の1銘柄)
 今を去ること4年前の2017年、病院職員の忘年会のくじ引きで、新潟産コシヒカリの新米10㎏が当たった職員の発した言葉に驚きました。米の産地ではなく、流通している米を食べて育った自分にとっては、新米の銘柄へのこだわりはそれ程ではありません。
 どの地域にとっても生活に密接に関わる物は、その地域の文化を形成します。日本で有数の米どころ、ここ庄内では米の文化です。庄内で成る程、これぞ米の文化だと感動した事例は枚挙(まいきょ)(いとま)がありません。
 結婚披露宴で、両家の「固めの餅つき」がありました。両家の長老から若い方に順番に交互に餅をつくのです。自分は都立高校を卒業し、多くは東京で開かれた高校の同級生の結婚披露宴に何回も出席しましたが、「固めの餅つき」は庄内で初めて見ました。
 また、米の収穫の時期に執り行われた結婚披露宴の結びに、両親への花束贈呈ではなく、新郎新婦それぞれの生下時の体重の重さの新米に稲穂を添えて、育ててくれた感謝の意を込めて両親へ贈呈する場面がありました。これぞ米の文化だ!といたく感動しました。
 同じく収穫の頃の結婚披露宴で、自分はそこで述べる祝辞の内容を考えていた時のことです。当日の朝、地元の温泉の露天風呂の中で、常連たちに祝辞の内容をあれやこれやと相談していました。
 「そうだ、これがいい!」
と、常連さんの一人が(すす)めてくれた言葉は、
「新婚と新米の本当の味は、冷めてからが勝負!」
でした。もちろん日頃から地域に根差した医療の提供を掲げ、庄内をこよなく愛する自分は、その言葉の意味くらいはよく理解できました(笑)。しかし、恐れ入りました!です。

 さてこの写真は、2013年9月28日に撮影しました。

 秋空を背景に、コンバインから収穫したての庄内米です。こんな光景が、田んぼのあちらこちらで見られます。
 ん~、流石(さすが)、米どころならではと思いませんか?
 んだんだ!!
(2018年2月)*(2021年9月、一部筆を加えた。)
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