嫌な匂いも好きのうち。

文字数 634文字

 私は科学者だ。どちらかと言うと化学の方だ。機械などは作らない。年は20代後半。
付き合っている彼女はいるが、結婚はしていない。私の仕事は会社の社員と言う、研究員をやっている。製薬会社だ。
私は消臭剤担当で色んな臭いを研究してきた。そして突然、発明してしまった。
まだ上司には報告していない。

 我々は大抵自分で実験してから、安全かどうか臨床試験を行うのだ。大抵安全なのだが。
皮膚病や所謂、まけるとか被れるとかを検証するのだ。
 私の発明した消臭剤は完璧だ。
まったく臭くなくなる。
その代わりに強い良い匂いでしょ、と言われるかも知れないが、そうでは無い。

 これは人の持つ臭いを、ほぼ100%消すのだ。人は色んな臭いを、身体にまとわりつけている。体臭以外にも口臭、シャンプー、石鹸、服の柔軟剤から生地の臭いまで。
だから無臭の人は存在しないのだ。
だが!私の作った消臭剤は全て消し去るのだ。

 私は他の同僚研究員にも黙って試してみた。
特に変わった点は無かった。
だが、リアクションが無いと困るので話し掛けたりもしたが。特にいつもと変わらなかった。失敗かな?と思って自分に使い続いた。
3日目、何故か突然、周りの人が驚き始めた。
それは私が現れると気付かず、しばらくして、びっくりしたぁ~!と驚くのだ。
上司まで、居たのか?欠勤かと思った、とまで言い出した。

 何か変だぞ?透明人間になった気分だ。
だが、見えているのだ私の事は。だから1度気が付けば、直ぐにいつも通りになる。
何となく面白くなってきた。
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