2 文明の段階が分かれば、持続可能性が分かる!

文字数 1,325文字

現代政策のキーワードに、持続可能性(サステナビリティー)という言葉があります。
今の文明段階で、それが求められているからだと思います。

文明の発展段階を進めるのは、農耕や動力機関、
電算組織(コンピュータシステム)のような、文明発展における主力技術です。

農耕技術は、体外物質の利用による食料の安定生産により、
文明の成立を可能としました。
動力機械は、体外動力(エネルギー)の利用による
文明活動の大量高速化により、文明を世界的に拡大しました。
電算組織(コンピュータシステム)は、
体外情報処理による文明活動の効率化により、
文明が地球という空間的限界に到達した衝撃を緩和しました。

しかしまだ我々は、この惑星上における、
文明の時間的持続までは見通せていません。

人類は今、資源枯渇・環境破壊の危機や、
経済・社会活動の複雑加速化による利害調整の困難、
経年・経代的な健康水準の低下や教育難度の上昇、
政策の国際化や民主化の要請などの問題に直面しています。

皮肉なことに、広い世界で国々が拡大と抗争を行えた時代には、
文明の持続可能性を保ちやすい面もあったのかもしれません。
資源不足や格差拡大が起きたら植民地を探して出ればよく、
開拓や戦争の中で、私のような虚弱者や遅れた制度も淘汰(とうた)されました。
しかし今では、そんなことをしても根本的な解決にならず、
または代償が大き過ぎ、自滅を招く危険さえあります。

そこで現代文明では、富の生産(安全含む)と配分(再投資含む)、
人の向上(維持含む)と活用(活躍含む)の課題が一斉に顕在(けんざい)化し、
環境(資源含む)、経済、社会(人間含む)、政策(行政運営)の全てで
持続可能性(サステナビリティー)が求められるようになったのでしょう。

生きるとは本来、生命活動の持続なのですが、
人類の生存が文明とその拡大や効率化で足りていた時代から、
新たな次元で本質的な持続が必要、かつ可能な時代になった、
ということだと思います。

ところで、文明発展における主力技術とはなんでしょうか?
これは次の章にもつながる内容ですが、
〝文明の星〟理論では技術を4つに分類できます。
それは、技術が社会を豊かにするための経路(ルート)による区分です。


 

農耕・動力機械・電算組織(コンピュータシステム)のような主力技術は、
経済・社会活動を大きく直接的に豊かにする、直接ルートです。
その特徴は、①全く新しい技術分野を(ひら)く〝新規性〟と、
②既存の全ての技術分野を発展させる〝多能性〟です。

この他の技術としては第二に、冶金(やきん)・電子・
ソフトウエア工学など、主力技術の物的資源化に不可欠で、
次世代の主力技術も生み出しうる、関連技術があります。
これは必要条件の整備に関わる、いわば間接ルートです。

第三に、天体望遠鏡やコンピュータ支援設計のような
科学・技術の研究開発のための、研究・開発技術があります。
これは、広い意味では経済・社会活動の一部でもある、
科学・技術自身の生産性を高める自助ルートといえます。

第四に、組織・会計技術や公教育・公衆衛生技術、
企画支援技術(オペレーションズ・リサーチ)など、
人々の協力を助ける社会工学的技術があります。
これは政策の実現を助ける、いわば政策との互助ルートです。

人類は、主力技術を中心とした様々な技術で、
文明の発展段階を積み重ねてきましたが、
現在の課題は持続可能性(サステナビリティー)という言葉でまとめうる、
実は全ての政策分野にわたる複合的な問題の解決、というわけです。
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