3. 真 琴(まこと)市 。

文字数 514文字

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 馬鍬(まくわ)村と琴音川(ことんがわ)郷と北湖(ぽっこ)郡と谷川沿(やっかわぞぇ)町が合併してできた。
 雄大な山林面積を誇るが、人口密度的には小規模と言われる市である。
 北方路(ぽっぽろ)南方路(なんぽろ)の境を南に下る。
 いわゆる『広域ぽっぽろ圏』の辺縁部に位置する。
 が、『都心への通勤圏』と見なすには、ちょっと遠すぎる。
 そんな位置関係の、一種の秘境?市街ということで、静かな旅客人気を誇る。

 かつては、豊富な木材と薪炭材を担いで山越えの旧街道を運ぶ歩荷(ぼっか)人足や馬子(まご)らや、木工品や山菜漬けを運ぶ商人達で、そこそこ賑わい。
 一時期には木材の戦時大量輸送のために、軽便鉄道すら通い。
 また、東や南の海産物と、山上湖の淡水産物と、北と西の海の幸と山の幸とを、交易する市が立つ場。
 でも、あったが…
 時代が下って、新鉄路は平野部まわりの迂回ルートに決まり。
 大型トラックによる冷蔵輸送も、冬季豪雪時は閉鎖されさえする峠越えを避けて、海沿いの高速道路にとられ。
 …今では、静かに減りゆく人口と、ひきかえに復元しつつある、豊かな緑。
 山間の秘湯と、まだ現役で働いている水車小屋の、ことんことん鳴る音…
 そんなものらが、市の、観光ガイドの、眼玉になっている…
 長閑な、地域である。


     ◇
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登場人物紹介

美味賜 香子(うまし・かこ)。

『なかなか芽の出ない作者の卵』…から、

やっと孵卵器に入った。くらいのところ…??


商業デビュー作:『だがしかしおかしいはなし』


めがヒット作:『 ウマシカ先生 』シリーズ。


佐藤 和子。

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