第2話 猫と迎えた朝(終)

文字数 858文字

 彩が目覚めると、すでに朝になっていた。
「彩。彩」
 呼びかける声に、彩はゆっくりと目を開けると、美琴が部屋のカーテンを開けているところだった。
 彩はベッドに、もたれかかる身を起こす。
「彩ってば、ベッドから落ちてて寝相悪すぎ」
 美琴は笑いながら言った。
 彩も笑う。
 昨日のことは夢だったのだろうか。
 窓際では、モモとモカが猫ベッドで丸くなって寝息を立てている。
 
【猫】
 猫が霊を追い払う話がある。
 猫はとても楽観的だと言われ、陰陽五行で言うと、陽の部分に属する生物だ。
 猫を思い浮かべる時、屋根や庭で日向ぼっこをしている姿を思い浮かべるように、温かくて穏やかな場所を好む。ギスギスしたり、冷たく、悲しい場所やエネルギーはとても嫌いであり、霊が寄り付きやすい場所は対局に位置する。
 霊の方が何かしらの理由で近づこうとすると、警戒し、威嚇を始め、ただ、見つめているだけなら邪気を持っていない霊なので、怖がる必要はないと言う。
 スピリチュアルな解釈では、浄化の力を持っているともされている。
 黒猫は縁起が悪いと勘違いしてる人がたまにいるが、黒猫は縁起が良いとされている猫だ。縁起が悪いとされているのは、縁起が良いと云われている黒猫が自分の前を通り過ぎること。
 つまりは、縁起の良いものに素通りされてしまうので、縁起が悪いとされた。
 招き猫には、白と黒があるが、黒い猫は夜でも目が利く事から日本では昔から「福猫」と呼ばれ魔除けや幸運の象徴とされていた。
 なお、白い招き猫は、福を呼ぶとされている。

 彩は美琴を見る。
 美琴は笑顔だ。
 彩は、ホッとした。
 見れば部屋の隅に、彩が持っていたお守りが落ちていた。その方向は、あの《顔達》に向かってお守りを投げた方向だ。
(夢じゃなかったんだ)
 彩は、その事実に安堵した。
 周囲が騒がしくなった事に、モモとモカが目を覚ます。
「おはよう」
 美琴は、猫たちに挨拶をする。
 彩は立ち上がると、猫たちに声をかける。
「ありがとうね。守ってくれて……」
 猫たちは首を傾げる。
 彩はクスッと笑っていた。
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