第3話 反対言葉の詩

文字数 525文字

「お先真っ暗」の反対が「お先真っ白」だとして、その白さに込められた願いの中に負の感情がないとは言い切れない。
 
「負の感情」の反対が「正の感情」だとして、正の感情には明るいだけの正しさとは相いれないものも押し込まれている。
 
「押し込まれている」の反対が「引き込まれている」だとして、一人で終わるか一緒に終わりたいかの違いにすぎないのに極端に距離を置かれている。
 
「極端」の反対が「中心」だとして、中心に誰もいないドーナツが出来上がるのならば、いただきますと言って食べる。
 
「いただきます」の反対が「ごちそうさまです」だとして、朝食でごちそうさまを言い忘れたばっかりに、午前中ずっと食事をしていたことにされた。
 
「午前中」の反対が「午後中」だとして、午前中に引っ張られて「ごごんちゅう」と言うような私が気付いたら出来上がっている。

※「私」の反対が「君」だとして、あらゆる私と君が反対なのに仲良くしたり愛し合っている現状がある。
 
「愛し合っている」の反対が「どちらかだけが愛してる」だとして、地球の2分の1以上は愛で溢れていることが確定した。
 
「確定」の反対が「確定していない」だとして、確定していないという居心地の良さに浸ることを私はやめた。
 
※Ref


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