くそっ、このっ!!
2018/03/17 01:32
はっ!!てめえら!次会った時は、今度こそ首根っこへし折ってやるからな!!
2018/03/18 00:41
それはこっちのセリフだ!!・・・くっ、あいつら遠慮なく殴りやがって!くそっ!
2018/03/18 00:45
ゲオはこのところ、対立している組織とのケンカに明け暮れていた。
腫れ上がった顔をぬぐいながら、まだ残るいらだちを路上の石にぶつけながら、家路に付いていた。
しかし町中の喧噪から静かな路地に入ってくると、ふと何かむなしさを感じるのだった。
2018/03/18 00:46
(・・・でも、俺はこんなことしていていいのか・・・?いやでも・・・俺なんか・・・)
2018/03/18 00:51
の~~~~~わ~~~~~~~~れ~~~た~~~
2018/03/18 00:54
(そうだよ、俺なんかが、どうして・・・)
・・・ん!?
2018/03/18 00:55
や~~~ま~~~だ~~~く~~~ん~~~
2018/03/18 01:37
うっわぁぁぁぁぁ!!
2018/03/18 01:40
どぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっーーーー!!
2018/03/18 01:38
これはまさに、流星だ・・・シューティング☆スターだっ!!
ミカエルは建物の間から、一気にゲオに向ってツッコんだ・・・いや、突っ込んだ!
2018/03/18 01:40
いや~、サーセン!ついつい、コントロールを失いまして・・・いや、小生も、天使としてまだまだですなぁ~~ガハハ!!
2018/03/18 01:43
しかしその下には、哀れな少年の姿が・・・アーメン。
2018/03/18 01:46
って・・・大丈夫か!!傷は致命傷だぞ!!
2018/03/18 01:46
それじゃ、ダメぢゃん。
2018/03/18 01:56
・・・あがが・・・何なんだ・・・って!!誰だ、おまえ!?は、羽根が生えてる・・・?
2018/03/18 01:47
おや、生きてた!!どうも~ひっさしぶり~!!
2018/03/18 01:48
はぁ・・・ど、どちらさんで・・・何か頭の上、いや全体的に光ってるし・・・
2018/03/18 01:49
ゲオは立ち上がって後ずさった。目の前に浮かんでる人間は、神聖な雰囲気だが、何だかカルい。
2018/03/18 01:50
ありゃ・・・そうか、ずいぶん美人さんになったから気づかないんだな!!ほら、私!アオッ!!
2018/03/18 01:52
おなじみのマイケルの決めポーズ。
2018/03/18 01:54
・・・もしかして、ミカなのか!?
2018/03/18 01:54
ちっ、ちっ、ちっ、いまはミカエル、マイコーって呼んでくれなきゃダメ!!
アォッ!!でけでけでけ、でけでけでけでけっでん!!
2018/03/18 01:56
間違いない・・・このめんどくさいノリ・・・ミカなんだな!って、何なんだよ、そのカッコは!
2018/03/18 02:00
おほほほっ!!ついにわが正体を明かす時が来たようだな!!
そんです!!あたすがヘンなオジサ・・・じゃなくて、実は私は天使だったのです!どう?驚いた!?
2018/03/18 02:02
で?どうやって抜け出して来たんだ?・・・俺に仕返ししようっていうのかよ?
2018/03/18 02:07
おおっ!!信じてないようだな!?いや、ホントに天使なんだってば!ほら、この羽根とか光輪とか・・・よ~し、えいや!!
2018/03/18 02:09
すると、周りの空間が歪みだす。そして気がつくと二人は、路地に建ってる建物の屋根の上にいた。
2018/03/18 02:13
なっ・・・なんなんだ・・・俺、夢見てる・・・わけじゃないよな・・・?
ほ・・・本当に・・・?何か、ヘンな奴らだと思ってたけど・・・
2018/03/18 02:15
ようやく信じてくれたね!!そう、私は天界からやってきた天使だったんだよ!いまは進化して、大天使になったんだ!
それでね、ゲオが何だか自信をなくしてるようだから、こうやってやってきたの。ゲオに神様を信じてもらおうって、まだ思ってるから。
2018/03/18 02:18
ゲオも、どうやら事態を完全に飲み込んだらしい。しかしそう見えるや、ゲオはそっぽを向いた。
2018/03/18 02:22
・・・ふん、奇跡を起こしたから信じろってことかよ?ずっと言ってるけど、俺は神様なんて信じないからな!
2018/03/18 02:20
うん!そう思っててもいいんだよ!!
2018/03/18 02:23
がくっ・・・何なんだよ、おまえは!?何がしたいんだ!?
2018/03/18 02:24
私がね、ゲオに神様を信じてもらいたい、って思ったのは、ゲオがホントはいい心を持ってるからだよ。ゲオがホントは教会のみんなのために、自分が信じた人のために役に立ちたいって思っているからなんだよ。
でもね、神様は、まさにそういうことを人間に求めているのね。
つまりね、そういうゲオは自分に正直になれば、それは神様を信じてるってことになるんだよ!
2018/03/18 02:26
・・・自分が信じた人のために役立ちたいって、なんで俺がそんなことしなきゃならないんだよ?
それに、自分に正直になるって・・・いまでも、俺は自分の信じてることをしてるぞ!
2018/03/18 02:33
そうだよね、ちょっと透視してみたんだけど・・・あっ、大天使ってのはそんなこともできちゃうんだよ~・・・ゲオは、ゴリアスさんを尊敬しているんだね!それだから、ずっとこの組織にいるんだよね?
2018/03/18 03:32
・・・それって、プライバシーの侵害じゃないのか・・・
2018/03/18 03:34
あっ!!べっ、別に着替えとかは見てないよ!!ただ・・・どんなことを考えてるのかが、天使にはよく見えるだけで・・・
2018/03/18 03:35
・・・そうだよ。ゴリアスの奴は乱暴者だけど、仲間にはすごいいい奴なんだぜ?組織をまとめる力もあるしな。
2018/03/18 03:36
そうだよね・・・だからゴリアスさんの言うことなら、悪いことでも協力しようって気になるんだよね。
ほら、そこがゲオのいいところなんだよ。
2018/03/18 03:39
・・・何だよ?おまえは、俺に自首しろってのか?
ああ、いまの俺は、いろいろ法に触れる悪いことをしてる。そうやって、人生をやり直せってことかよ?
言っておくが、俺はそんなのはゴメンだぜ!俺は牢屋に繋がれる気はない!
2018/03/18 03:41
いや~、なになに!牢屋暮らしも悪いもんじゃないですぜ?
なんたって私はすでに経験してますからなぁ!プリズン☆マスターと呼んで下され!がっっははははっ!
2018/03/18 03:44
・・・やっぱり、おまえは俺を恨んでるだろ。それは俺のせいだからな。
2018/03/18 03:46
もちろん、それがよかったとは言えないけどね。でも、そのおかげで、私もいろんな経験ができたよ。
だから、ゲオはそのことを気にしなくてもいいよ。いまのゲオはそのことを気にして、自分に自信がなくなってる。そんな自分を嫌ってる。
2018/03/18 03:47
・・・おっ、俺は自分を嫌ってなんかいねぇよ!!まったく、やっぱりむかつく奴だ!!
2018/03/18 03:55
もちろん、他人には正直にはなれないよね・・・でも、みんなそうなんだよ。みんな、人に言えない自分の気持ちを抱えてる。
だから、一人になった時に、ゆっくりと自分自身と話してみるといいよ。
「君は誰かに愛されてる」なんて、むずがゆくなるようなことは、私は言わない。
でもね、どんな時も自分自信を愛して。自分を大切に思ってね。ゲオはホントはみんなのために何かしたい、って思ってるんだから、いつでもその心を信頼して。
2018/03/18 03:57
・・・安っぽい歌のフレーズみたいだな・・・まったく!
2018/03/18 04:07
ゲオはいい心を持ってるんだから、そうすれば、いつも自分に自信を持って生きられるよ。そうすれば、自分があんなことをしてしまったとか、自分は所詮こんなものだ、とか、そういった考えにくじけることはない。
自分の「正しい心」をいつも信じていれば、いつでもそこから幸せになれるんだよ。
ねっ?ゲオにとって、これはうれしいことでしょ?それが、「神様を信じる」ってことなんだよ。
神様を信じるってことは、つまりはその人の正しい心に従って自信を持って生きるってことなんだよ。
2018/03/18 04:07
・・・じゃあおまえは、俺に自首して、ゴリアスとか仲間のことも全て話して、みんな仲良くお縄を頂戴しろってことか?それが「正しい」んだよな!?
2018/03/18 04:20
ううん、それはゲオが決めることだよ。ゴリアスさんを裏切りたくないなら、それはそれで「正しい」ことだよ。もちろん、このまま自首することもね。
ただ、このまま「自分は所詮は悪いことに流される弱い人間だ」って、自分を嫌ったままで生きないでほしいだけ。
そうすれば、答えは自然に出てくるよ。
2018/03/18 04:22
ゲオは心が締め付けられた。
2018/03/18 04:30
・・・・まったく!おまえの言ってることは、ぜんぜん理解できないな!
2018/03/18 04:28
・・・うん、天使ができるのはここまで。あとは、ゲオが心の中で解決することだよ。
それじゃ最後に・・・
2018/03/18 04:31
するとミカエルは両腕を上に上げて、バンザイのカッコをとった。
2018/03/18 04:33
さあっ!!今度こそ、友情のハイタッチをっ!!!
2018/03/18 04:34
んでもって、空を飛んだまま、屋根の上に立ってるゲオをめがけて突進していった!!
2018/03/18 04:35
うわあああぁぁぁぁ!!
2018/03/18 04:36
その突進はまさに天界の獅子・・・ゲオは思わず、さっと横にそれる。
2018/03/18 04:37
屋根にはマンガみたいな、見事な人型の穴が空きましたとさ・・・
2018/03/18 04:39
ばっ・・・!おまえ何やってんだよ!!
2018/03/18 04:40
いや~、失敗、失敗・・・
2018/03/18 04:41
ミカエルがむっくりと起き上がる。そして指を一つ弾くと、屋根がたちまち元通りになって行く。
2018/03/18 04:42
よかった・・・ゲオの悪い波動が消えた・・・私も、もう戻らなきゃ・・・じゃあね!ゲオ!ゲオに会えて、よかったよ!
2018/03/18 04:43
ミカエルはゆっくりと飛び上がると、たちまち光と共に消えてしまった。
その後には、いくつかの白い羽根が舞っていた。ゲオがそれを手のひらで受け取ろうとすると、羽根はたちまち光となって消えてしまった。
そして気がつくと、ゲオは元通りの路地に立っていた。後ろの通りを通っている人も、何事もなかったかのようだ。
2018/03/18 04:45
・・・・ミカっ!!
2018/03/18 04:47
ゲオは虚空を掴むように手を伸ばした。その視界が急激にくしゃくしゃになって行った。ゲオの目から、涙が一つ二つとこぼれ落ちた。
こんな気持ちになったのは、初めてだった。
2018/03/18 04:47
(くっ・・・あいつが、天使だって・・・?あ~あ、しくっちまったな・・・)
2018/03/18 04:51
世界が、まるで変わってしまったかのようだった。
・・・いや、変わったのはゲオの方だった。汚い路地に面した石の壁が、妙にはっきりと見える。いままでは、目の前に霞がかかっていたかのようだ。
2018/03/18 04:53
おい、ゲオ!こんなところで何してんだ?
2018/03/18 04:55
気がつくと、後ろにゴリアスが立っていた。この男の顔が、すごく頼もしく見えた。
そしてその時、ゲオは自然と、自分でも予期しないことを口にしていた。
2018/03/18 04:56
ゴリアス!悪いけど、俺は組織から抜けるよ!
大丈夫だ、ゴリアスと仲間たちのことは絶対にチクらない!
でもさ・・・もしその気になったら、ゴリアスもこの世界から足を洗ってほしいんだ・・・!
2018/03/18 04:58
はっ?何を言い出すんだ突然・・・?
2018/03/18 05:01
ゴリアスが驚く横で、ゲオは自分の言葉に勇気づけられていた。
2018/03/18 05:02
(そうだ、俺にもやれるんだ・・・ああ、俺はいままで、何を考えてたんだろ!・・・あありがとな、ミカ!)
2018/03/18 05:03