第1話

文字数 333文字

園田は、電車の中で「重量」と戦っていた。横に座っている、ふくよかでいらっしゃる女性が、居眠りして園田にもたれかかってくるのである。たまに起きて、しゃんとするのだけども、またすぐ園田にもたれかかってくる。

こういった場合、園田はひたすら耐える。だか女性は本当にふくよかでいらっしゃるので、肩が痛いし、もげそうである。このまま駅まであと40分、耐えられるだろうか……。電車内における睡魔の強力さというのはすごいもので、園田は、居眠りがすぎて隣の男性の膝でおねんねしてしまった女性を見たことがある。

4度目にもたれかかって来られた時、園田は意を決してちょびっとだけ押し返してみた。普段の彼なら考えられない事である。すると、「チッ」という音が聞こえた。

なに? 今の。
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