第1話

文字数 866文字

 2018年1月21日、平成29年度全日本卓球選手権大会の男女シングルス決勝で、それぞれ張本智和(はりもとともかず)伊藤美誠(いとうみま)選手が優勝した。二人とも14歳、17歳といわゆる「若者」だ。
 試合も迫力があったが、自分は試合前の肩慣らしの練習の打ち合いに凄みを感じた。さり気なくポンポンと打ち合っているのだが、速く正確でそれでいて力みもなく美しい。「一流」を感じさせた。
 医療の現場でも、「速い」はいいことの方が多い。処置や検査も手技が上達するほど、急いでいる訳ではないのに結果的に「速く」なる。安全が第一の手術でさえも同じ傾向がある。
 また、「速い」につながる「短い」ことも大切だ。経験を積んだ臨床医の書くカルテは短く、要点をついている。患者さんへの説明も短く無駄がなく、それでいて患者さんに分かり易いことが多い。逆に無駄な記載、検査結果の羅列のカルテを書く臨床医は、総じて話が長く冗長で要領を得ない。
 最近自分は、老いるということは、この「短く」「速く」について行けなくなったことを指すのではないかと思っている。
 歳を取ると動作が遅くなる。歩くのが遅くなる。話を理解するのに時間がかかる。判断が遅い。話が長くくどくなって、しかも同じことを何回も繰り返す。若い人の話が速くて聞き取れず理解できないなどだ。
 前述の卓球も、競技の性格上、玉の回転までを見極める動体視力、反射神経、俊敏な運動能力が求められた結果、若い選手に軍配が上がったのだろう。
 さて話は変わるが、鉄道列車で最速は新幹線だ。写真は2017年9月に新幹線の撮影場所として有名な浜松駅の新幹線上りホームから撮影した。

 時速200㎞で走り抜ける新幹線は迫力があり感動する。ゴットンゴットンと走る羽越本線の鈍行列車とは異なり、車体はブレることなく疾走する姿は美しい。
 自分も、老いている暇はない。頭の回転を常時最大限にして、「短く」「簡潔に」「速く」をモットーにして頑張るのだ!
 んだんだ!(←庄内弁で「そうそう」の意味。究極の「簡潔な」相槌だと凄く気に入っている。んだんだ!!)
(2018年3月)
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