第2話

文字数 544文字

「このメンバーでプログラミングなんか出来るのか?」
一波(ひとなみ)が不安そうに言った。
「自信持てよ。機械学習もディープラーニングもしっかり学んできたじゃないか」
賢伊(かしこい)が檄を飛ばす。

前回の課題で、3人は隣野(となりの)研究室に大敗を喫していた。
今度こそは勝ってみせると、闘志を燃やす賢伊(かしこい)だった。  

「小4の知識なんて大した量じゃないよな」
一波(ひとなみ)が呟く。
とは言え、10年分の情報量となると、集めるだけでも大変だ。
「こんな短期間で育てるなんて無理だよ」
登呂井(とろい)は早くも逃げ腰だ。

育てるというのはAIにデータを与え学習させることである。
「Python(パイソン)を使えば簡単さ」
賢伊(かしこい)には自信があった。

Pythonとは日本では知名度の低いプログラミング言語だが、従来のPerl(パール)よりもシンプルで使い易く、海外では普及している。
しかし、Pythonは隣野(となりの)チームも使うだろう。
いや、なにも10歳の神童を作る訳ではない。
判定員に10歳だと思わせる切り札さえあればいいのだ。何かないか?

「そう言えば、サッカーに夢中になる年頃だよな」
登呂井(とろい)がからかうように一波(ひとなみ)を見る。
一波(ひとなみ)は、かつてサッカーオタクだった。

「よし。得意分野を生かそう。一波(ひとなみ)はサッカー、登呂井(とろい)は芸能関係、明るいよな……」
賢伊(かしこい)は2人を上手に使うことにした。







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