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文字数 275文字

波の音が聞こえ
目覚めた君は
誰かを探す

季節外れの海水浴場で
顔だけ出して
体は砂に埋まっている

空を見上げると
大きな鳥が
ゆったりと
旋回しており
獲物が息絶えるのを
待ち構えているらしい
と気づく

 誰か
 いませんか?

足元に
海水が染み込む

潮が満ちたら
砂が流れるかもしれない

いや

砂が重みを増して
更に固められて
海水で息もできなるかもしれない

自分が
埋められた場所を
確認することもできず
君は
叫ぶことと
砂が流れることを祈るしかできない

このまま餓死するか
海水に埋まって息絶えるか
大きな鳥に食べられるか

どうせなら
無駄死には
したくない

君は
目を閉じ
死んだふりをして
鳥が急降下するのを待つ
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