導入部 前編
文字数 996文字
気づくと僕はショッピングモールの広い階段のところに立っていた。
僕の隣には顔が黄色いスマイルマークで体は黒子のような人物がいる。彼のことは見た目通りスマイルと呼んでいる。
そしてスマイルと僕の間にふわふわと宙に浮かんでいるのは白い天使のような羽の生えた小さな獏。まるでコミックに出てるような可愛らしさがある。この獏はブラウニーと呼ばれている。
ブラウニーは見た目同様可愛らしい声を出した。
『さあさあ。今日も始まるよ。どっちが五階まで早くいけるかな?ゲーム』
スマイルは僕の方にグッドマークを見せると用意につく。
『位置について。用意……どんなのだ!!』
ブラウニーのその言葉で僕もスタートを切る。
命懸けで階段を駆け上っていく。スマイルはというと、今日も手加減をしてくれているのか、ジョギング感覚で階段を上っている。
やがて息を少し切らしながらも僕は階段を登り終えた。五階のゴールの場所には既にブラウニーがいた。
『おめでとう!! 呉波想也君!! 今日も素敵な一日を過ごしてね』
僕はその瞬間、視界がボヤけて眠りについた。
また目が覚めると僕は自分のベッドの上にいた。
僕の隣には顔が黄色いスマイルマークで体は黒子のような人物がいる。彼のことは見た目通りスマイルと呼んでいる。
そしてスマイルと僕の間にふわふわと宙に浮かんでいるのは白い天使のような羽の生えた小さな獏。まるでコミックに出てるような可愛らしさがある。この獏はブラウニーと呼ばれている。
ブラウニーは見た目同様可愛らしい声を出した。
『さあさあ。今日も始まるよ。どっちが五階まで早くいけるかな?ゲーム』
スマイルは僕の方にグッドマークを見せると用意につく。
『位置について。用意……どんなのだ!!』
ブラウニーのその言葉で僕もスタートを切る。
命懸けで階段を駆け上っていく。スマイルはというと、今日も手加減をしてくれているのか、ジョギング感覚で階段を上っている。
やがて息を少し切らしながらも僕は階段を登り終えた。五階のゴールの場所には既にブラウニーがいた。
『おめでとう!! 呉波想也君!! 今日も素敵な一日を過ごしてね』
僕はその瞬間、視界がボヤけて眠りについた。
また目が覚めると僕は自分のベッドの上にいた。
重たい瞼を右手で擦り、長方形の机の上に置いておいた丸眼鏡を着ける。
その机の上には昨日の晩、テスト勉強していた教科のノートや教科書が置いてある。
それに気づき僕は慌てて机の横に落ちた目覚まし時計を見る。時刻は七時半。
「学校早く行って勉強しようと思ったのに……」
僕はすぐに制服に着替え、教科書類をリュックに詰め込み二階の自分の部屋から一階のリビングへ。
食卓にはスーツ姿の父さんとエプロン姿の母さん。それに中学校の制服を着た妹の春子の三人が机の上に並べられた食パンと目玉焼きとベーコンの朝ごはんを食べている最中だった。
「おはよう」
「想也。今日テストなんじゃないの?」
母さんは僕の朝ごはんを準備しながらそう言った。
「なんだ想也、テストなのか? 頑張ってこいよ。俺はそろそろ出るからな」
父さんはそう言うと食べ終えた食器を流し台に下げ、自分の鞄と弁当を持って家を出ていった。
「にぃに。昨日遅くまで勉強してたんじゃない?」
春子は食パンを口に入れながらそう言った。
その時僕の目の前に焼けた食パンと目玉焼きとベーコンが並んだ。
僕はそれをかきこむように食べると、リュックを背負った。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
母さんはそんな僕を心配するかのようにそう言った。