第2話 弱いつながりの強さ

文字数 1,156文字

 時には人間関係に疲れてしまって嫌になった事はないだろうか?
 そうした時には「経営学の言葉」の「弱いつながりの強さ」が役に立つかもしれません。「弱いつながりの強さ」はスタンフォード大学の社会学者マーク・グラノベッター1973年に発表した「SWT(Strength of weak theory)理論」の中で説明したものです。
 まず「弱いつながり」とは、普段はあまり会う機会がなく、ある程度の距離感をおいて付き合っている人間関係の事を言います。そして距離感はあってもお互いに共通項があり、時には役立つ情報を共有できるような関係です。それに対して「強いつながり」は接触回数が多く一緒にいる時間も長くて距離感の近い人間関係の事を言います。
 そして「強いつながり」と「弱いつながり」を比べると今までは「強いつながり」の人間関係の方が重要視されてきました。例えば、学生時代に仲が良くなった友人とさらに関係を深めてお互いに心を許し合える友人になりたいと思った事はなかったでしょうか?
 又、体育会の運動部でチームプレーが重要視されるスポーツ例えば野球やサッカー、ラグビーなどのスポーツをしてきた人達にとっては、試合に勝つにはチームの仲間同士が強く結びついている事が必要でした。
 そして、学校を卒業して社会人になると同じ会社の職場の同僚とは「強いつながり」で繋がっている事が、会社の業績を上げる為に必要だとされています。その為に会社は同じ職場の同僚たちが集まって繋がりを強くする為に懇親会・飲食会を行う事もあります。
 しかし、自分の意思とは反対に無理に「強いつながり」を作ろうとする事は疲れる事でもあります。そして「強いつながり」だと思って信頼していた相手に裏切られたりすると、関係が近いと思っていただけに落胆は大きなものになります。そうした時に人は暫くは「強いつながり」を遠ざけたくなる時もあります。
 それでも今までは「強いつながり」を築く事が重要だとされてきましたが、そうではないケースもあるとしたのが「弱いつながりの強さ」です。その理由は「強いつながり」の人間関係は閉鎖的で、外部からの侵入を拒む傾向があります。又、その中では情報の機密保持が重要視されてごく少数の者しか知らない情報が増えてきます。そうした閉鎖的な「強いつながり」の人間関係の中では新しい発見や気づきは期待出来なくなります。
 それに対して「弱いつながり」は外に向かって解放されているので多方面から新たな情報も入ってきやすいし、人材の交流も広がりがあります。その為、新たな発見や気づきは「弱いつながり」の関係の中から出てくる可能性が高くなります。
 狭い世界で固まってしまわないで世界を広げて新たな気づきをするには「弱いつながり」の強さが今、見直されています。
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