開拓者シューマ
文字数 2,296文字
しかしシューマは内装が気になって仕方がない。
入ってすぐに左の空間と右の空間に分かれ、左側は受付窓口とおぼしきカウンターが小さく間仕切りで分けられその前に武装をまとった人たちが並んでいる。場合によっては3人ほどのグループで並んでいるような人もいる。
右側は酒場兼、食事処、兼情報の交換場所のような風情があった。
ただ騒いでいる人や静かに食事をとっている人、額を寄せ合ってないしょ話をしている人等、さまざまだ。
その奥には壁一面に質の悪そうな茶色の紙が所狭しと張られている。
よく見ると見たこともない記号ばかりだったが、なぜかその意味は理解できた。
異世界言語も理解可能らしい。助かった。
個人情報、来歴、証明、その全てが提出済みという事らしい。
シューマは身に覚えがなかったが、そういうものなのかと受け入れた。
異世界なんて何が本当で何が嘘かなんて判断がつかない。ありのままを受け入れよう。
それではこれがあなたの協会証ということになります。
あなたがもし魔物を倒したのならば、この協会証に記録され、あなたがもし何かを開拓することができたのならばそれもまたこの協会証に記録されます。
そしてわれわれはその成果に対して報酬を支払う用意があります。
よい開拓をよろしくお願いします。
ランクは細かく分かれておりますが、それもすべて己の力量以上の依頼をすることがないようにとの配慮です。
開拓者を志す方々はたくさんいらっしゃいます。ですが開拓者を続けられる人は限られています。その限られた人々が間違いであっても命を散らすことがあっては都市の大きな損失となります。
なのでランク設定により依頼の制限をかけさせていただいております。
シューマさんの場合FランクなのでFランクの依頼全てとEランク下位の依頼が受けられます。
そしてその成果が協会証に記録され、協会によりランク上昇の判断をされた場合にのみ上のランク上がることができます。
突発的な成功で急速にランクが上がらないようどんな大きな成功であっても1段飛ばしのランク上昇はありません。
シューマさんも上を目指すのであれば、確かな成果を数多く蓄積することが1番の近道だと思います。
カウンターに並んでいるシューマの事を、ニヤニヤと無遠慮に見てくるがらの悪そうな人達がたむろっていた。
予想外なことに装備はなかなかに高級品で揃っているように見えた。金属鎧なんかは装飾のレベルが皮鎧とは隔絶している。だが肝心の装備者の表情や態度、立ち居振る舞いにマイナス点が多く、上級者には見えずどこか荒んでいる騎士崩れのように見えた。
普通に言い返すこともできずただ呻く事になった。
これを提出すればいろいろなところに利用できるらしい。
偽造や他人のなりすましが怖いなと思ったが。
その人の存在の力といっても過言ではありません。魂の力ともいいます。
同じものなど一つもありません。
さらにその存在の力を記録することで装備者の成長や体調、現在の状況を把握することができます。
もちろん個人情報により私たちは閲覧いたしません。
どうぞ安心してご利用ください。