序章:農業という仕事

文字数 400文字

 「はぁ、はぁ、はぁ……………」



 息を切らして鍬を構える。



 今回は凶作………否、豊作だ。



 生きのいい作物がこんなに実って、嬉しい事この上ない。



 しかし、それ以上に農家にとっては大変な事でもあった。







 『ブォアォア』



 口から撒き散らされるのは種。



 平べったいヒマワリの種のようなそれは地面に当たり、弾丸が爆ぜたかのように土を撒き散らす。



 躱さなければ蜂の巣になっていただろう。





 「気を付けろ!こいつ種攻撃が通常の固体より強いぞぉ!」



 鎌を加工した爪『鎌爪カマヅメ』を装備した農家さんが叫ぶ。



 「解ってる。」



 鍬を持つ手が震える。







 令和X年。



 農家に就職した俺こと「クロメイカ」は死の危機に瀕していた。







 今は収穫の真っ最中。



 農業で一番危険な作業だ。
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