0.プロローグ

文字数 326文字

0.プロローグ


木枯らしが僕の身体を突き抜けて通り抜けていく。

〝お前はここに居るのか?本当に?〟

まるで問われてるかのようにも感じる。
いやいや、そんな問いもせず僕という人物(モノ)に気づきすらしなかったのかもしれない。

「あぁ、寒い寒い、今日も寒い。」

まだ夕方の5時半だと言うのに月が見える。
ぼうっと薄がかった埃色の空。
暗くなるのが早くなった事がひしひしと僕に冬だと感じさせる。

「ーーもう星が見えてる。」

真上に光る七つの光。
オリオン座を見上げて白い息を吐いた。

こんな寒い日は君と出逢った冬を想い出す。

「君もオリオン座が好きだったね。木枯らしでもいい。僕の隣に来てくれよ。」


君を奪った嫌いな冬。


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