第八話『バード』

文字数 1,657文字

バロン、レスタ、ブレーグの3人を撃破した一行は、
屋敷の最上階と思われる四階に到着した。
大きな扉があるね。
この先に親玉がいそうな気がするよ。
よっしゃ、いっちょ乗り込んでやろうぜ!
扉をあけると、そこは大きな部屋だった。
そして中央にあるソファーに腰を掛けている者がいた。
クックック。
随分と変わったお客様が現れたものだな。
(この面子を見て、変わっているという言葉だけで済むのか……)
やい、お前がマーネってやつだな!
その通り。
私がこの屋敷の主、マーネ・ニーだ。
単刀直入に聞こう。私に何のようだね?

僕達の要求はただ一つだ。
強引に連れてきた奴隷達を解放したまえ。

ふん、強引といわれるのは心外だな。
ここにいる奴隷は全て合意の下で連れてきたのだよ。

べらぼうめぇ!
どうせ汚ねぇ手を使ったんだろ!
大人しく奴隷を解放するなら、
僕達は何もしない。さあ、どうする?
ふ、舐められたものだな。
私が野盗共を従えてるだけの無能に思っているのか?
どれ、私の力を見せてやろう!
そう言うと、マーネは羽織っているローブを脱ぎ捨てた。
さあ、見ろ、そして恐怖しろ!
これが私、マーネの姿よ!
鳥じゃねーか!!
あのシルエットなんだったんだよ!!
クックック!
私をただの鳥だと思うなよ。
これでも百戦錬磨の鳥と言われた鳥の中の鳥よ!

くっ!
こいつぁ、一筋縄ではいかなそうだぜ!
油断できない相手だね……!
ああ、俺にはわかる!
こいつはかなりの強敵だぜ!

え、お前らそれマジで言ってる?
ジョークじゃなくて?
ただの鳥だぞ。インコだぞ?インコってレベルだぞ。
鷹や鷲ってレベルじゃねーぞ。
クックック。
さーて、どいつから片付けてやろうかな……!
台詞は格好いいのに、姿形が伴ってないおかげで、
ただの出来の悪い学芸会みたいになってら……。
まあ、私達がいえた台詞じゃないけど。
くらえ!バードアタック!!
マーネが突進すると共に、リロが吹き飛ばされる。
うわぁぁあああー―――っ!!
さらに、そのまま回旋すると
今度はフジサンに向かって突進。
フジサンはそのままバラバラにはじけとんだ。
リロー!フジサンー!!
ち、ちくしょー!どうなってやがんだバーロー!
おいおい、マジかよ!?
なんであの鳥があんな強いんだよ!
うう……。
クックック!どうやらそっちのスケルトンは無事のようだな。
だが、あの山は粉みじんに吹っ飛んだ!
さーて、次はそこにいるうんこ!貴様だ!
(やべえ、これは全滅するかも……。
 ていうか今の台詞、うんこで全部台無しだ。どうでもいいけど)
マーネが狙いを定めようとしたその時、
開かれた窓から一匹の黒猫が入ってきた。
にゃーん。
そして黒猫は、マーネを見るな否や、
獲物を仕留めるかの如くマーネに飛びついた。
な、なんだ貴様!おい、ちょっと待て!
やめろ!貴様!やめろ!
俺はエサじゃない!やめろ!やめろ!!
マーネは必死に飛び回り、猫の攻撃を回避する。
えっ。
お前、何でただの野良猫に苦戦してんの?
さっきまでの勢いはどうしたの?
おい!やめろ!やめて!マジで!!
おい、おい!ちょ、お前ら!助けて!
基本的に猫はNGだから!!おい、やめろって!
おい!助けて!助けて!!このままじゃ食べられちゃう!!
助けてって言っちゃったよ……。
しょうがねえな。おーい、にゃんこ。
ほら、これをやるから向こうに行ってくれ。
リロは猫に肉を与える。
ねえ、何であの鳥を助けてるの?
寧ろこのまま放っておいたほうがいいと思うんだ。
勝手に食われて事件解決じゃん。
ばっきゃろー!
困った時はお互い様だろうが!
全く、キミは少し冷たいのが欠点だね。
お前らバカじゃねーの!?
全滅しそうだったのに何言ってるの!?
ていうかあいつ敵じゃねーか!!

あと、フジサン!お前、何さり気無く出てきてんだよ!
さっきバラバラにされたんじゃねーのかい!!
ああ、心配かけたね。でも大丈夫。
僕は粉々になっても、すぐ復活できるんだ。
あ、そうなんだ……。
あーあ、あの猫、肉を食べたら満足して行っちゃったよ。
どうすんだよこれ……。
圧倒的な力を持つマーネ!
さあ、ニャン達はどうやってこのピンチを切り抜ける!?
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登場人物紹介

ニャン・ウォン

猫のような狸のような微妙なモンスター。
レアらしく、自分と同じ容姿をしたモンスターがいない。
この物語の主人公。弱い。

リブ・ロース

元ミノタウロス。あだ名はリロ。
勇者PTに抹殺されてスケルトンに生まれ変わる。
魔法が使える。

大将 


すし屋を営んでいる素敵な形のおじさん。
力が強くて情に厚い。
皆は大将と呼んでおり、本名は謎。種族も謎。

フジサン


活火山。 
よく粉みじんになって死ぬ。
でもすぐ復活できる。
性別はたぶん男。

セルル


魔物使いの女の子。

半ば強引にニャン達を自分たちの使い魔にする。

基本的に常識はある方だが大ボケをかますことも。

自分に対して無礼を働く相手に対しては非常に毒舌。

魔王様

魔物達の社長。
偉い。強い。カッコいい。

ずんだもち

勇者。
王に忠誠を誓うフリをして
いつかこの世界を掌握しようと目論んでいる。
夢は世界征服。
とても強く、他人の家の財産を平気で奪っていく
最低最悪の勇者の鏡。

ベンジャミン

戦士。
うざい。すごくうざい。とにかくうざい。
本当にうざい。死ぬほどうざい。
他のメンバーにいつも酷い言葉で罵声を浴びせられているが
全く気にしない強靭な精神力を持つ。

くるぶし

賢者。
勇者メンバーの中で一番理性的な男。
しかし性格は悪く、賢者と思えないような発言を平気でする。

きしめん

武道家。
口が悪いヤンキーのようなやつ。
よく魔物をカツアゲし、全財産を奪っている。

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