2頁

文字数 781文字

 そして、たまたま休みの日に。
私は、はたと気が付いた。4月22日、今日は私の誕生日ではないか!何てコッタイ!
忘れてた。そんな事を考える暇もなかった。
 いつもなら妻が、

「明日は誕生日だから、あなたの好きな物を、作るわね」

と言ってくれたものだ。
 ああ〜、涙が出てきた独り暮らしは辛い。
病気とイベントが一人だと、これ程孤独感を感じるのか〜。
 ああ、だから早く結婚して、家庭を持ったのに。俺のバカバカバカ!
私はひとしきり自分を責めて。
そして考えた、誕生日の料理を作ろう。
一人でも作って食べよう。さて?何を作るか?

 その時ふと思い出した。お袋の作ってくれた、誕生日の料理をだ。
 ガキの頃は甘い物とカレーでもあれば。後はケーキでシメたものだ。
段々と成長してゆき。高校生位になると兎に角食べ盛りで沢山の物を作ってもらったものだ。

 私の1番の好物は鉄板焼だ。まあ単純に言えば焼肉だ。ホットプレートに肉やら野菜やらを入れて、焼きながら味噌ごまダレで食べるのだ。この味噌ごまダレが、お袋の手作りで何処かの料理屋で食べたものをコピーしたのだそうだ。お袋は料理の天才だ。
 (大抵の子供は、そう思うのだろうが)

 よし!鉄板焼だ!
私はスーパーへと買い出しに向かった。
車を運転しながら。子供の頃を思い出した。
確か必ずと言っていいほど、フルーツポンチが出ていたな。お袋はアメリカナイズされたものが好きなのだ。
 当時はアメリカに、追いつけ追い越せの時代だから。何でも直ぐに真似したものだ。
本物がどんなものかは知らないが。お袋の作ったフルーツポンチは、缶詰のごった煮
(煮てはいない)アラモードだ。アラモードであってるか?アンサンブル?カルテット?
何でも良い!

 兎に角、色んなフルーツの缶詰を、大きな
ガラス容器に開けて混ぜたものだ。
甘い、とても甘い!うん!それも作るか?
 私は一人、ニヤニヤしていた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み