というか、ここどこ?

文字数 429文字

 無人駅なのだろう。駅構内に人はいなかった。改札や利用者が少ないところは、地元の駅に似ている気がする。
 ……人はいなかったが、代わりに別の何かならいた。
 「切符ヲ拝見シマス」
 「ああ、はい」
 改札口をふさぐように、鳥のような、大きさとしてはカラスくらいの何かが止まっていた。きちんと制服や帽子を身に付けているところをみると、ここの駅員だろうか。よく見ると、ハサミのようにも思える。
 不思議に思いながらも、鞄の前ポケットに入れていた切符を出す。
 駅員さん(とりあえずそう呼ぼう。『鳥のような何か』では長い)は、何度か首を傾げ、じっくりと切符を確認した。満足げに頷くと切符をくわえ、パチンと音を立てて穴を開けた。
 「ソレデハ良イ旅ヲ」
 駅員さんは右側に移動し、道を開けてくれた。ようやく改札を通れるようだ。
 「ありがとうございます」

 こうして私は、この町へと足を踏み入れた。そしてこの町で、私は十数年振りに、懐かしい人達と会うこととなる。
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登場人物紹介

倉里紗織…本作の主人公。電車で傷心旅行に出たところ、不思議な街に迷い込む。

落ち着いているとよく言われるが、感情が顔に出にくいだけである。混乱すると動きが固まる。

マサムネ…黒毛の猫又のぬいぐるみ。何故か人間の言葉をしゃべる、そして動く。

主人公のことを「旦那さん」と呼ぶのは、とあるゲームの影響らしい。

性格は好奇心旺盛、自由きまま。動くものを見ると飛びつく。

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