第5話 リーマン(?)はつらいよ

文字数 582文字

 「もうっ! あなたたちのせいで、私まで叱られちゃったじゃない!」

 ぷりぷりしながら歩く芽里(足速っ!)を追いかけ半ば小走りになりながら、シュウとショウは、懸命に謝罪の言葉を並べ立てた。だって、今だってすでに告知の役割しかないのに、これ以上仕事が減ったら、自分たちの魂の増量(これが実質、彼らの給与となっていたりする)も覚束ない。「ふふっ」なんて笑ったのは、他でもないあなたでしょう、なんて言葉は、ぐっと呑み込むことにする。

 そんな内心を知ってか知らずか、芽里はぴたりと立ち止まり、すんでのところでぶつかるのを回避した後ろの2人に向かってにっこりと笑って言った。

 「そうよぉ、仕事が無くなっちゃう可能性だって、あるんだからね? そうならないように、しっかりと報告書を書きなさい。
 あと、今後は特典付与者の選出稟議も書いてもらう予定でいるから。苦手なんて言わないで、がんばりなさいな。改善提案も、歓迎するわ。やることは、いくらでも見つけられるはずだからね!」
 「「はい…」」

        ***

 先日、今転生したらどんな生命体になる? と思って調べてみた。2人とも、ウスバカゲロウだった。…せめてもうちょっと魂を稼いでから転生したい、と、心から思った。

 それまで仕事が無くなりませんように―。
 切に願う2人であった。



 FIN
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