ブラックアイズキッズ

文字数 890文字

 私が学校から帰って来た時のことです。インガルス家の前に、子供が何人かいました。全員車を見つめていました。

「どうかしたの?」

 私は、子供たちの遊び道具が車庫に入ってしまったのではないかと思い、声をかけました。
 振り返る子供たち。

「ひぃい!」

 悲鳴を上げる私。だって子供たちの目には白目がなかったんです。目が真っ黒なんです。誰だって、ビビりますよ見れば!

「車に乗りたい」

 一人の子供がそう言い出しました。

「乗りたい乗りたい!」

 他の子供も一斉に、同じことを言います。

「ちょっとブラッドさんに聞いてきます」

 私は運転免許を持っていませんし、仮に持っていたとしても勝手にドライブなんてできません。玄関に向かいました。
 あと一歩のところで、私の足が止まりました。
 何故なら子供が一人しがみついているからです。

「乗りたい乗りたい! 乗せろっ!」

 一人が私のお腹に右ストレートを入れました。あまり痛くはありませんでしたが、他の子供も暴れ出します。

「ちょっと、やめなさい!」

 私が言っても何も聞きません…。おまけに足も腕も掴まれて、身動きもできません…。

「ブラッドさん!」

 私が叫ぶと、ブラッドさんがすぐに駆けつけました。

「おいお前ら! ぶっ飛ばすぞコラァ!」

 ブラッドさんが両手にリボルバーを構えていました。それを見ると、目が黒い子供たちは急に静かになり、蜘蛛の子を散らすように逃げて行きました。


 幸いにも、日本では目撃例がないこのブラックアイズキッズ。年齢は十歳ぐらいで、目が黒いのが特徴です。
 彼らが行うのは、要求です。家に入れろとか、車に乗せろとか、です。
 それを拒むと、口調が高圧的になったり、暴れ回ったりするそうです。何て自分勝手なんでしょうか…。
 正体は様々で、宇宙人説、ヴァンパイア説、幽霊説等があります。最近では、宇宙人と地球人の子供なんて説も…。

 確かに何事でも正体は気になりますよね。でも、ブラックアイズキッズの目的の方が気になってしまいます。果たして、何がしたいんでしょうか?
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