ノストラダムスの大予言

文字数 741文字

 それは一九九九年七月のことだった。俺はまだ四歳で知らないことの方が知っていることよりも多かった。
 親がやけに騒いでいたのを覚えている。

「地球が終わる! 俺の家族も仕事も終わる!」
「まだローン返済できてないのに!」

 そんな会話を頻繁に聞いた。面白そうなので是非とも混ざりたかったが、幼稚園児の俺には難解で結局よくわからなかった。


 ノストラダムスの予言って、聞いたことがある人の方がない人よりも多いと思う。
 具体的に説明すると、一九九九年七月に恐怖の大王が来るというもの。
 それは人類の滅亡を示唆しており、隕石や環境問題や核兵器や彗星やウィルスや戦争や自然災害や大地震や火山噴火など、滅亡プランは多く用意されているから、それぞれ好きな計画を選ぶとよい。

 …現実を見ようか。これを書いているのは二〇一七年度。人類は滅亡してないよ?
 そもそもノストラダムスは「人類が滅ぶ」なんて一言も言ってないから安心したまえ。
 より詳しく説明しよう。

 実は、ノストラダムスの予言を翻訳した人が、勝手に盛り込んだのが人類滅亡の予言だ。
 大体十六世紀のキリスト教徒であるノストラダムスが滅亡を予言しようものなら即刻死刑だったし、彼の予言は一九九九年以降も続く。やっぱり滅びません。
 そして翻訳に勝手に盛り込んだ都合上、滅亡滅亡とうるさかったのは日本人だけだった模様…。何という恥さらしだ。親のパ二クる姿、思い出しただけで恥ずかしいぜ!
 他にも人類滅亡の予言としては、マヤ文明のヤツが有名だろうか。二〇一二年に地球が滅ぶって言うけどやっぱり滅んでないし、マヤ文明のはカレンダーがその年で切れているだけだ。

 こんな考え信じてる時点で、もう既に色々と手遅れかもなあ…。
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