第4話

文字数 513文字

 玄関の戸を開けると昼間の猫が足の直ぐ下にあるコンクリートの上に座っていた。アンジーが素早く玄関から外に出る。
「あっ、アンジー、行っちゃうの?」
 夜中に出歩くことは少ない。アンジーと昼間の猫たちは薄暗がりに消えていく。私はこっそり後をつけた。猫たちは公園に入っていく。ジャングルジムの下に10数匹の猫がいた。
 猫の集会だ!
 大晦日に猫の集会が見れるなんてラッキーだ。だけどアンジーに女の猫の彼女がいたら、ただ事ではない。私は人間だが付き合っているつもりなんだから。猫たちはまーるく円を描くように座っている。そこに尻尾が3つに分かれている猫が来て真ん中に座った。猫又かな!私は咄嗟に木の後ろに隠れた。
「にゃあ」
「にゃあ」
「にゃあ」
 猫たちが一斉に鳴く。同時に除夜の鐘が隣のお寺から聞こえる。もしかして、この猫たち、みんなで年越しするのかな。感慨深くなって猫の集会が見れたことに涙が出そうになった。ふと尻尾が分かれている猫がこっちを見た。私はビクッとなると催眠術にかかったようになった。
「にゃあ」
 あれっ!?言葉が喋れない。それに視界が低い。地面が目の前だ。手足を見ると黒い毛が生えている。
 猫になった!?
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