1.はじめまして、おじ神様~初めての○○○~
文字数 2,066文字
私にはそういった、いわゆる魔物というものを惹きつける性質がある。
私の魔力は質が良い?らしい。
こんなの、私にはいらないのに。
魔物を引き寄せる私のことを周囲の人間達は気味悪がった。
この本には、願いを叶えてくれる神様を呼ぶ方法が記されていた。
といっても根拠は私の直感でしかない。
この力がなければ、友達どころか恋人だって……!
待っていて、私の運命の人。
この力を手放すことができたら、必ずみつけてみせるんだから!
魔法陣を本の通りに描き、儀式に必要な物を並べていく。
後は、魔方陣の中に入って呪文を唱えるだけだ。
…………恥ずかしすぎる。
なぜ途中から歌う必要があるのか。
誰かにみられたらもう私、お嫁にいけない。
―――――
――――
―――
……何かの気配を感じる。
もしかして、成功したのかしら?!
突然、頭をなにかに叩かれた。
あ、これイケメンだ。
長く人や魔物を遠巻きに観察してきた私の直感が告げている。
運命の人だったりして。
…………目を開けて上を向くと、そこには長髪長身の。
——おじいちゃんがいた。
うん、そうだよね。そんな簡単に運命の相手に出会えるなら誰も苦労しない。
嘆かわしい。いとも簡単に心を読まれるとは。巫女のレベルも随分と下がったようじゃ。
お前みたいな小娘の願いなぞ、叶えてやらんわ……と言いたいところだが、貴様よく見ると巫女ではないな。何者じゃ。名を名乗るがよい
さすが、神様!私の悩みを看破するなんて。
イケおじだわ、カッコイイ!
え、食う?
食うって言った? 今。
私は襲い掛かってくる神様をみて思わず、目を閉じて夢中で蹴りや拳を放った。
目を開けると、神様が倒れていた。
なんか身体も縮んでる。
優しいおじ様だわ! イケおじだわ!
自分でもなんで笑っているのか、よくわからなかった。
けれど、なんとなく嬉しかったのだと思う。
——今思えば、それはきっとこの出会いが。