第1話

文字数 1,430文字

 先週の月曜日の夕方、私は山形県新庄市内の国道47号線を庄内町方面に車を運転していた。道路は片側1車線で、遥か前方に信号待ちの車が2台停まっていた。車を減速して時速 40㎞ くらいになった、その時、
  バチッ!
と弾けた音がした。
  んっ?!
 眼前のフロントガラスの下縁から約 5㎝ の所に豆粒大の放射状のひび(罅)が入っていた。
 (飛び石か?)ルームミラーには対向車線を去り行く自家用車が2~3台写っていた。しかしそれらは大したスピードは出ていなかった。車を停めてひびを観察した。ひびの中心には米粒大のキズがあり、確かに飛び石が原因のようであった。付近には誰もいなかった。
  ふ~(溜息)。
 全身の力が抜けた。
 それからは茫然として車を運転していた。
  パチッ!
  えっ?!
 キズから右方向にひびが 10㎝ほど伸びた。光線の関係で白く光って明瞭に見える。
  ふ~。
 もう、どうでもよかった。車から降りて確認する気も起きなかった。
  ペリッ!
  ん?
 今度はキズから左方向にひびが 20㎝ほど走った。これも光線の関係で白い紐のように見えた。
 怒りを向ける矛先がない。気力もなくなり虚脱状態で、ヒョロヒョロと車を運転して、やっとのことで病院の駐車場に到着した。
 車内から写真を撮った。

 気が付いたら左側へ伸びたひびはさらに進展し、助手席の前まで到達していた。
 何回見ても体から力が抜けていく。テンション馬鹿下がり…。

 すぐにいつも車のことで世話になっている自動車屋のお父さんに連絡した。私の車の主治医である。すぐにひびの見立てと修理の見積もり、手続きをしてもらった。が、翌日もらった返事は、
 「済みません、部品が欠品になっていてしばらく修理できないそうです。部品が届くまでに1週間から10日くらいかかりそうなので、届いたら連絡します。それまで遠出はせずにしばらくそのまま乗っていて下さい。」
 まさに泣きっ面に蜂だった。しかも、フロントガラスの交換だけではなく、衝突防止のセンサーカメラの調整も必要でさらに日数がかかるとのことだった。
 朝起きて、車に乗って「さあ、今日も1日頑張るぞ」と、その時目に入るひび。盛り下がること(はなは)だしい憂鬱な毎日である。

 んだっけの~。

 ただひびで興味深かったことがひとつある。それはフロントガラスのひびの入り方にもその形で分類がある*ことを知ったことだ。(*セブンスマガジン>>フロントガラスのヒビの対処法・応急処置を紹介。車検への影響は? から引用した)

 ①円形 (bull's eye(ブルズ アイ) break(ブレイク)): 牛の目のような形をしたひび
 ②半円形 (partial(パーシャル) break(ブレイク)): 半円状の形をしたひび
 ③一文字状 (straight(ストレート) break(ブレイク)): 衝撃点を中心に2方向に亀裂が伸びているひび
 ④放射状 (star(スター) break(ブレイク)): 衝撃点を中心に放射状に亀裂が伸びているひび
 ⑤円形と放射状の複合 (combination(コンビネーション) break(ブレイク)): 亀裂が重なっており、ひびの状態が悪い

の5つである。
 一文字状、放射状、複合のひびはひびが進展する危険性が高い。
 私の場合は、放射状のひびから一文字状にひびが進展した型に相当する。成る程…。
 世の中には凄い人がたくさんいる。フロントガラスのひび、一つをとってもひびのプロがいて科学的に分類して検証している人がいるのだ。
 まぁ、どうでもいいか、そんなことより早く直れば…。
 んだ。
(2024年6月)

 
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