第2話

文字数 648文字

僕がラストレターを受け取ったときどう思ったか。ショックなんて受けなかった。むしろ嬉しかったよ。人を簡単に殺せる権利をもらえたんだからね。
これは自分が死ぬ危機ではなく、誰かを殺せる機会だ。僕は喜びに震えた。なんせ大切な友人を殺したあの女を、同じ方法で殺せるんだから。
僕は手紙がラストレターだとわかるとすぐに、いつもの四人組の残り二人を呼び出した。そして三人で権利を回すことで、さまざまなルールの詳細を探った。ここで指標となってくるのが、「ラストレターは、その受取人が権利を譲渡したとき、もしくは権利の譲渡から24時間が経過したとき、消滅する」というルールである。書いたラストレターが消滅すれば、その次のラストレターは有効だったことになる。たとえば手紙は紙媒体じゃなくてもいいのかとか、意味がわかれば英語や暗号でも有効かなどなど。
僕らはさまざまな検証を行った結果、重大なルールの穴を発見した。ラストレターの特徴である最初と最後の”L”は、消えるペンで書いても有効だったのだ。
消えるペンの仕組みは、中のインクが60度以上になると透明になり、マイナス10度以下になると有色に戻る、というものである。
ブラックライトを当てると見えるペンや、あぶり出しではダメだった。
消えるペンでLを書いておき、摩擦でそこだけ消せば、相手はラストレターだと思わない。
ちなみに本文でもこれは可能だが、ルールと成立条件の部分だけは消すことが不可能だった。
あとはこれをあの女が読み、死へのカウントダウンを待つだけだ。
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