山菜取り

文字数 1,078文字

 皆様ごきげんよう。私は今、山菜を取りに入っている。田舎では山菜なんて珍しくもないが、どうやら都会では金を出して買うモノらしい。何ならとてもおいしくて好きなんだとか。まあ、そこは人の好みなのでそういう人もいるだろう。私も一部の山菜は好きだ。
 田舎では山菜というも尾はその名の通り、山でとれるものだ。さして珍しくもなければ、金を払って買うようなものでもない。のだが、都会にはそもそも草木がないし、山もないらしい。そんな馬鹿な。
 だが都会の人にとってここまで山菜が珍しくなっているのにはいくらか理由があるのだと私は思う。
 まずは自然環境だ。都会という場所は自然というものが自然ではないらしい。聞いた話では、山はあるが坂の多いただの住宅街になっているという。当然そんな環境では取れる山菜は少ないだろう。
 次に車や距離の問題である。前の話で言ったかもしれないが、都会は車を使わない。ただの負担になるからだ。しかしこういった場合は反対に車があったほうがはるかに便利だ。林道があればなお便利だ。山菜とは不思議なもので、隣の峰には生えてるのに、自宅裏の山では一切生えない。そんなこともある。そんな時に山から山へ移動するのは車があったほうがいい。山菜が取れるような山があるところは総じて交通の便が悪い。そういった場合はどうしても自己移動が必要になってくる。
 まあ、そういったわけで、都会へと引っ越しをして山菜を気軽に取れなくなってしまった従兄弟からの依頼で山菜を取っている。葉ワサビというものだ。辛くておいしい山菜だ。軽く湯がいて、めんつゆなどで一晩漬ける。そうすると非常においしく、薬味のように食べられる。田舎では味を濃く、、漬けたり干したり煮込んだりという昔ながらの調理法がいまだによく行われている。それぞれの季節に合わせたものがその度に作られて食卓へ並ぶ。
 この山菜を調理する時の調理方法も田舎ならではないかと思う。時間もかかるし、場所も取るし、モノによっては匂いも付く。都会のように、住宅が立ち並んでいてはなかなかやりずらいだろう。その点田舎は住宅がそもそも少ないうえに、密集していない。そして物置小屋やD形ハウスなど、場所の確保も容易だったりする。何よりあちこちの家庭で作っていたりするから、においも気にならない。

 田舎では昔ながらというモノが残り続けている。それは意識しているわけではなく、単純にそうやって受け継がれてきていまだにそれをしているだけである。それが良いか悪いかは、その物事や人によるだろう。私は山菜に関して言えばとてもいいことではないかなと思う。
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