【End】第7話 そして、噂を聞きつけたアノ人

文字数 467文字

その人は布面で顔を隠し、まるで霧や夜をローブのように身に纏いながら現れたみたいに見えた。でも、誰でも理解できる御方……“Veiled One”だ。生者と死者の境界線を司る者……と緊張していたら、メニューを見て普通にお茶を注文してくる。「誰からも頼んだという話を聞いたことがなかったから」という理由で、「コンフォーティング・ブリュー」にしたそうだ。何だか、発言が若々しいな。

「布面を外してお茶が飲めるって素晴らしい」とのこと。ジッとその御姿を見つめないように心掛けた。
一杯目を飲み終えたのを見計らって、この屋台へ来るまでの道順を質問してみる。返ってきた答えは「自室のドアを開けて一歩外へ出た感じかな」だった。

色々な人が十分に準備してから旅立つのに、そんなお手軽さで良いのか?

「君もその感覚を味わうんじゃないかな?」と席を立つ“Veiled One”に言われた。このルートでの冥府受け入れを終了して別のルートが開くから、そこでも屋台茶屋を出店して欲しいらしい。珍しく、私が質問を受けた。

屋台を始める前を覚えているのか?

……っえ。
あれ……?
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